高機能フィルム市場,2024年より好転の見込み

著者: 梅村 舞香

矢野経済研究所は,ディスプレー・光学,電気・電子,一般産業用のベースフィルム及び加工フィルムなど,国内外の高機能フィルム市場(日本,韓国,台湾)を調査し,製品セグメント別の動向,参入企業の動向,将来展望を明らかにした(ニュースリリース)。

それによると,2024年の主要な高機能フィルムの出荷数量は前年比2ケタの成長の見込みだという。2022年から2023年にかけて前年までのコロナ禍の巣ごもり特需の反動により,スマートフォンやタブレット端末,ノートPC,大型TVなどの最終製品の需要が減少し,最終製品メーカーや部材メーカーなど川下市場で展開するユーザー企業各社が資材の在庫調整を進めた。

そのため,部材の生産工程で使用される保護フィルム,リリースフィルムなどの副資材やそれらのベースフィルム(原反)など高機能フィルムの需要が大きく減少した。2023年末頃にはユーザー企業サイドの在庫調整も一段落し,2024年以降の高機能フィルム市場規模は実需とリンクした増減を示す見込みだという。

近年の主要な高機能フィルム出荷量の前年との増減率の推移を見ると,2022年にはPETフィルムが前年比17.9%減,半導体製造用テープが同10.5%減,PIフィルムが同19.7%減,MLCCリリースフィルムが同30.9%減となった。

2023年はPETフィルムが同0.4%減,半導体製造用テープが同2.3%増,PIフィルムが同10.6%減,MLCCリリースフィルムが同19.8%増だった。2024年見込みはPETフィルムが同13.1%増,半導体製造用テープが同9.2%増,PIフィルムが同27.0%増,MLCCリリースフィルムが同18.3%増になると推計した。

この調査で注目したFPC(Flexible printed circuits)やディスプレー,半導体は,日本の高機能フィルムメーカーにとって事業の柱であるが,近年ではTVやスマートフォンなど最終製品市場が成熟し,そこに搭載される部材も新しいものが生まれにくくなっているという。

FPCやディスプレー関連フィルムは本格的な市場形成から約四半世紀が経過しており,高機能フィルムメーカーにとって「種から育ててきたが既に実が成り収穫が完了した」用途であると言える。高機能フィルムメーカーに求められているのは新たな収穫に向けた「種蒔き」や「新品種の開発」だとしている。

ここでは従来型のマーケットインの考え方よりも,高機能フィルムメーカー各社がそれぞれ持つ技術や製品の特徴や強み,差別化できるポイントなどを洗い出し,それらをどこでどのように展開するかを突き詰めるというプロダクトアウト型の開発が求められている。

将来展望については,これまで日本の高機能フィルムメーカーでは,用途や市場にフォーカスしたマーケットイン型の開発を進める中で,ユーザー企業(最終製品メーカー)や部材メーカー,コンバーターとが協業して新たな製品を開発し,大きく育ててきた。

しかし,マーケットイン型からプロダクトアウト型の開発へのシフトを進めるにあたっては,どこにどんな芽が出るかわからない状態で開発し,出てきた芽を大きく育てていかなければならない。そのためには,これまでには無かった協業の取組みが求められるという。

競合するフィルムメーカー同士が,ある部分でタッグを組み,お互いの材料を持ち寄って顧客や用途を共に開発するということも考えられる。既に「収穫期」にある既存のマーケットでは競合しぶつかり合う材料やフィルムメーカーであっても,市場への種蒔きの段階では,芽を出し根が張るまで協働で育てていくということを考えても良いとしている。

新たな市場のために種を蒔き,大きく育てるという展開は,日本の高機能フィルムメーカーがこれまで蓄積してきた技術,開発してきた製品を活かし,競争力のある次の事業の柱を立てるチャンスにもつながる。そのチャンスを逃さないためにも,企業の垣根を超えた提携・連携が求められていると考えるとしている。

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