京大ら,スズ系ペロブスカイト半導体膜を作製

京都大学,名古屋市立大学の研究グループは,スズ系ペロブスカイト前駆体溶液中の4価のスズ不純物を系中で取り除く手法を開発した(ニュースリリース)。

鉛の代わりにスズを原料に用いたスズ系ペロブスカイト材料は,優れた半導体特性をもつことから,非鉛系ペロブスカイト材料の有力候補として期待を集めている。しかし,材料中の2価のスズイオン(Sn2+)が非常に酸化されやすく,半導体特性を低下させる4価のスズイオン(Sn4+)を生じることが問題となっている。

この課題に対し,研究グループでは,材料として用いる市販のヨウ化スズ(SnI2)中に4価のスズイオン(Sn4+)が不純物として含まれていることを明らかにし,Sn4+種を完全に取り除いた高純度化前駆体材料を開発した。しかし,このようにして作製したペロブスカイト薄膜中においても,依然 Sn4+種が含まれていることがわかった。

この原因について,グローブボックス中で材料を保管している間にも,極微量に存在する酸素と反応することによって Sn4+種が生じると考え,ペロブスカイト膜を作製する 「直前に」,高い反応性をもつ0価のスズナノ粒子を系中で発生させて作用させることで,Sn4+種をSn2+に還元することができると考えた。

ペロブスカイト前駆体溶液には,ペロブスカイトを形成する原料であるSnI2の他に,膜の品質を向上させる添加剤として 10%のフッ化スズ (SnF2)を加えている。この溶液に対して,高い反応性をもつテトラメチルジヒドロピラジン(TM-DHP)を加えることで,SnF2を選択的に還元し,0価のスズナノ粒子を発生できることがわかった。

生じたSn0ナノ粒子が Sn4+種を捕捉する「スカベンジャー」としてはたらき,Sn4+不純物を完全に含まない前駆体溶液が得られることがわかった。

この前駆体溶液を使ってペロブスカイト膜を作製することによって,膜表面のSn4+種の割合を 15.5%から5.3%に大幅に減少させることができた。さらに,膜内部では Sn4+種をほとんど含まない(<0.1%),「Sn4+フリー」のペロブスカイト膜が得られることがわかった。このペロブスカイト膜を用いた太陽電池は,最大で開放電圧が0.76V,光電変換効率11.5%と高い性能を示す素子を実現することができた。

今回開発した「スカベンジャー法」はスズ系ペロブスカイト材料に一般的に用いることができ,太陽電池のみならず,発光ダイオードや光デバイスなど,様々なデバイスの高性能化につながるものとしている。

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