OIST,DNAと酸素の相互作用を光でモニタリング

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は異分野間の研究者との共同研究により,DNAと酵素が相互作用する様子をリアルタイムでモニタリングする技術を開発した(ニュースリリース)。

DNAと酵素がどのように反応するのかを理解できれば,反応によりできた生成物を単に評価して得られる情報と比較して,より詳細で有益な情報を得ることができる。しかし最近まで,化学反応中の相互作用の観察は標識を使用する手法に頼っていた。標識を用いると時間がかかり,また観察対象の化合物を傷つけてしまうこともある。そこで研究グループは,マイクロ流路チップと光センシング技術を用いてリアルタイムで化学反応の進行状況を表示できる,実証用のバイオセンサーを開発した。

局所表面プラズモン共鳴(LSPR)は,ラベルフリー(非標識)の検出技術で,標識化合物の代わりに光センシングを用いる。小型のセンサー装置は反応物に光を照射し,化学反応に伴って変化(シフト)する吸光度を検知する。このセンサー装置で読み取られた結果はリアルタイムでスクリーンに表示される。研究グループはこのLSPRとマイクロ流体力学を組み合わせて,LSPR装置に取り付けた小型のプラスチックチップ上に反応物をセットした。

今回の研究では,この装置の実用性をDNAの複製実験で試した。DNA複製は,細胞分裂のたびにDNAのコピーを作成する重要な反応。チップ上には無数のキノコ型構造が配列した領域があり,そこに反応物(この場合はDNA)が付着する。その間も酵素は作用している。

酵素がDNAに結合してコピーを合成すると,装置は吸光度の変化を検出する。この吸光度の変化は化学反応が起こっていることを意味する。実験結果は,装置に取り付けられたスクリーン上に,バイオセンサーの読み出し情報としてリアルタイムに表示される。

結果をリアルタイムでその場で表示できる感度の高いセンサー装置が利用できることは,さまざまな状況で有益となる。今回の研究で開発したような「ラボ・オン・チップ」デバイスは,特に患者の疾患に関する遺伝的リスクを診断する際に役立つ。患者の試料を特定の実験施設に送り,結果を何週間も待つことなく,迅速かつ正確な遺伝子検査を患者の前で行ない,即座に意思決定を行なうことが可能になるという。

研究グループは今後,チップの感度やスループットの向上に取り組み,バイオテクノロジー分野での応用の可能性を探るとしている。

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