東大ら,スキルミオンがモノポールに変化する様子を解明

東京大学,東北大学,理化学研究所,中性子科学センターらの研究グループは,スキルミオン格子をもつ化合物MnSi(Mn:マンガン、Si:ケイ素)と,創発磁気モノポール格子をもつ化合物MnGe(Ge:ゲルマニウム)に着目し,両者の固溶体であるMnSi1-xGexを合成することに成功するとともに,その磁気構造や物性を解明し,特に中間組成(x=0.4-0.6)において新しい創発磁気モノポール格子が実現されている可能性を見出した(ニュースリリース)。

トポロジカル磁気構造は省エネルギー型の磁気メモリーデバイスへの応用の観点から,その生成・消去の手法に関してさまざまな研究が行なわれてきた。しかし,異なる二つのトポロジカル磁気構造同士の相転移を実現し,磁気特性・電気伝導特性などを含む多角的な視点からその詳細を観測した例はこれまでに報告されていなかった。

研究グループは,MnSi1-xGexを合成することに成功し,SiとGeの組成比を変化させることで,スキルミオン格子が創発磁気モノポール格子に変換される過程を明らかにした。その結果,MnSi1-xGexではx~0.25とx~0.65において,最低温での強磁性転移磁場が10テスラも変化するような劇的な磁気相転移が存在することが判明した。

x≦0.25の組成においては,ローレンツ電子顕微鏡観察とトポロジカルホール効果の測定により,MnSiと同様のスキルミオンの三角格子の形成が確認された。また,x≧0.7の組成においては,中性子散乱実験と30テスラまでの高精度なトポロジカルホール効果の測定から,MnGeと同様の創発磁気モノポール格子が形成されていることが明らかになった。

一方,中間組成(x=0.4-0.6)の磁気構造を中性子散乱実験によって調べたところ,これまでにない磁気散乱パターンが現れ,創発磁気モノポール・反モノポールが面心立方格子上に配置されたような,新しいトポロジカル磁気構造が実現されている可能性が見出された。

更に,この中間組成ではトポロジカルホール効果の振る舞いが特異な温度・磁場依存性を示すため,これまでになかったトポロジカル磁気構造が形成されている可能性が強く示唆されるとしている。

今回の発見は,創発磁気モノポール格子を形成する磁気相互作用に関して新たな知見をもたらすだけでなく,圧力による磁気構造制御の可能性を示唆するものであり,今後の物質開拓や,省エネルギーデバイスへの応用化に重要な指針を与えることが期待されるという。

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