東京科学大学,東京大学,慶應義塾大,シンガポール南洋理工大学は,伝搬する電磁波の中に周期的な3次元トポロジカル構造を生成する手法を開発した(ニュースリリース)。
幾何学的な変化に対して不変な性質であるトポロジーが粒子のように局在化したトポロジカルな構造は,堅牢に情報を保存し運ぶことのできる媒体として,次世代の情報処理や通信に利用する動きが活発化している。
特にホプフィオンは優れた安定性を持ち,情報を密に詰め込むことのできる媒体として期待されている。そうした工学的な応用を広げるにはホプフィオンの結晶状態の発見が不可欠だが,ホプフィオンが高密度で並ぶ周期構造はどの物理系でも発見されていない。
研究では,伝搬する電磁波の中に周期的なホプフィオン構造を生成するため,複数の周波数,偏光状態,そして空間モードを割り当てた電磁波を重ね合わせるというアプローチを着想した。周波数と偏光が異なる二つの電磁波を重ね合わせると,その電場ベクトルは複雑な軌跡を描き,偏光状態が時間的に変動するようになる。
同時に空間モードも調整することで,偏光状態は時空全域にわたり変化するようになる。周波数を適切に選べば,偏光の時間変化は周期的となり,空間構造も含めてうまく調整することで,ホプフィオンの時空結晶(時間的・空間的な周期構造)が作られると考えられる。
研究グループはまず,ガウシアンビームを用いて,ビーム断面には周期性がなく,伝搬方向もしくは時間軸方向にのみ周期性がある1次元のホプフィオン配列を作る手法を提案した。このとき,空間モードとして,複数のラゲールガウスモードを一定の規則に従って重ね合わせる。
この構成では2次元空間断面において,スキルミオンの入れ子構造(スキルミオニウム)が現れては消える。この偏光構造を時空全域にわたって確認するとホプフィオン構造を取っており,ホプフィオンを特徴づけるトポロジカル不変量(ホップ数)を計算すると1周期で整数になることが確認された。
次に,ビーム断面が2次元の周期構造となるように光ビームを生成する手法を開発した。この手法を用いてガウシアンビームの場合と同様に複数の周波数を重ねることで,空間断面にも周期性を持つ3次元のホプフィオン結晶が形作られることを確認した。
電磁波の時空構造が正方格子状の周期的な偏光分布を示し,その1つ1つがホプフィオンとなっている。電磁波の伝搬する特性として構成されるホプフィオン結晶構造であるため,空中を飛ぶホプフィオンであると言えるという。
今回開発した手法は,光通信や無線通信へ利用することで,転送容量・エラー耐性を大幅に高める可能性がある。研究グループは,物質中にトポロジカル3次元構造を創り出し,操作する技術の開発の道筋を照らすものでもあるとしている。
