3. 宇宙からの観測例
本章では,本研究で提案した手法に基づいて開発した小型ハイパースペクトルカメラを搭載した2機の超小型衛星による,軌道上観測成果を示す。
3.1 3U級超小型衛星「FUSION-1」による観測例
「FUSION-1」は,福井大学,セーレン,福井テレビジョン放送,福井工業大学が,福井県宇宙産業ビジネス化支援事業の助成により,共同開発した約10 cm×10 cm×約30 cmの3U級超小型衛星である。FUSION-1は,2025年1月15日にSpaceX Falcon 9(T-12)により,軌道高度約500 kmに投入され,搭載観測機器の動作確認を完了し,定常観測運用に移行している。FUSION-1に搭載したハイパースペクトルカメラは,重量217 gという小型・軽量構成でありながら,地上分解能23 m/pixelの可視~近赤外ハイパースペクトル観測に成功した。本カメラの観測波長帯は440 nm~840 nmの可視近赤外域であり,5 nmの波長サンプリング間隔でハイパースペクトルデータを出力する。観測例を図3および図4に示す。図3はパラグアイの農業地帯を中心に観測した結果であり,図4は市街地および農地を含むフランスを観測した結果である。両図には,ハイパースペクトルデータから生成したカラー画像(a)と,近赤外バンドを含む疑似カラー画像(b)を示している。これらの結果から,本ハイパースペクトルカメラにより,可視域から近赤外域にわたる画像取得および分光観測が正常に行われていることが確認できる。
さらに,ハイパースペクトルデータを用いて正規化植生指数(c)を算出することで,植生分布の可視化が可能であることを示した。両図(d)には農地領域の拡大図を示し,農地内外の複数地点における分光スペクトル(e)を示している。得られた分光データからは,植生域や裸地などの分光特性が明瞭に取得されており,植生に特有の分光特性(可視赤色域での吸収および近赤外域での反射)が明確に捉えられている。以上の結果より,FUSION-1搭載ハイパースペクトルカメラは,所定の設計性能を満たし,軌道上において安定した観測性能を有することが確認された。

2025年7月7日(UTC),パラグアイ

2025年7月16日(UTC),フランス



