東京科学大学と三菱電機は,可視光を吸収する有機半導体である窒化炭素を用いた人工光合成触媒系を平面状に形成,固定化し,CO2からエネルギー物質であるギ酸を生成させることに成功した(ニュースリリース)。
光触媒を用いて太陽光エネルギーを化学物質に変える人工光合成は,カーボンニュートラル社会の実現に向けた有効な手段として期待されており,この研究においては,太陽光の主成分である可視光域をより効率よく利用する技術の確立が求められている。
また,人工光合成により得られる物質のうち,液体で運搬や貯蔵が容易であるという特長を持つギ酸は,太陽光のエネルギーを蓄える再生可能エネルギーの一つとして注目されている。
今回の開発に用いた光触媒は,波長450nm程度までの可視光の光エネルギーを,CO2を原料としてギ酸に変える働きを持っている。これまでは,反応液中に分散させた光触媒粒子に光を当てることでギ酸を生成させていたが,ギ酸の大量生成に向けては,反応溶液からのギ酸の分離を容易にし,かつ光を効率よく利用するために,光触媒を平面上に形成,固定化する必要があった。
今回,ガラス平板上に酸化チタン層を堆積させ,その上に有機半導体である窒化炭素を載せて固定化することに成功した。これによりパネル状にした光触媒にCO2の還元活性点となるルテニウム錯体(RuP)を吸着させた。
人工光触媒のパネル化により,従来方式では必要だった操作(反応溶液中に分散した光触媒粒子微粉末のろ過など)が不要となるため,ギ酸の回収が容易となり,ギ酸の回収コストが削減するという。
また,平面パネル化した光触媒を反応液中に浸し,可視光(400nm)を照射することで,高い選択率(85%)でギ酸を生成。従来方式(同80%)と同等の生成効率であることを確認した。
研究グループは,将来的には,この成果を他の人工光合成技術と組み合わせることで,より高効率なエネルギー変換システムの実現を目指す。また,エネルギーの貯蔵や運搬が容易なギ酸の大量生成を実現することで,再生可能エネルギーの利用拡大にも貢献するとしている。
