OIST,画像認識に量子計算プロトコルを初めて応用

沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究グループは,法医学から医療診断まで,多くの分野において重要な画像認識にボソンサンプリングを初めて実用的な応用例を発表した(ニュースリリース)。

過去10年間以上にわたり,研究者たちは光子を用いた量子計算プロトコルであるボソンサンプリングを,量子計算が古典計算を超える優位性を示すための重要なマイルストーンとして考えてきた。

しかし,これまでの実験ではボソンサンプリングを古典コンピュータでシミュレートすることが困難であることが示されてきたものの,実用的な応用は実現していなかった。

研究グループは,ボソンサンプリングを基盤とした新しい量子AI手法を画像認識に応用した。シミュレーション実験では,まず複雑な光量子状態を生成し,これに簡略化した画像データを符号化した。

研究グループは,三つの異なるデータセットからグレースケール画像を入力として使用した。各ピクセルがグレースケールであるため,情報は数値で容易に表現でき,主成分分析(PCA)で主要な特徴を保持した圧縮を行なった。

この簡素化されたデータを,単一光子の性質を調整することで,量子システムに符号化した。光子は量子リザバーを通過し,干渉により高次元で豊富なパターンが生成された。検出器が光子の位置を記録し,繰り返しサンプリングすることで,ボソンサンプリングの確率分布を取得した。

この量子出力を元の画像データと組み合わせ,単純な線形分類器で処理を行なった。このハイブリッドなデータ結合アプローチは元画像の情報を保持し,検証した同規模機械学習手法よりも良い結果を示し,すべてのデータセットで高精度な画像認識を実現した。

研究グループは,この手法が,わずか三つの光子と線形光学ネットワークを使用することから,低エネルギーの量子AIシステム実現に向けた大きな一歩となるとしている。

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