santec AOCは,1kWクラスの近赤外線レーザー加工向けLCOS型空間光変調器「SLM-310」を発表した(ニュースリリース)。
反射型LCOS(Liquid crystal on silicon)空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)は,光の位相を自由に制御することができ,ビームの偏向や形状の変形など,さまざまな光学的操作を実現する。
同社はこれまでに500W耐光性能のLCOS-SLMを開発してきたが,金属加工用途ではさらに高い耐光性能が求められていた。そのため,この製品は水冷システムを搭載し,最大1kWのレーザー出力に対応できるよう設計された。これは,同社従来製品の耐光性の2倍にあたり,高出力用途におけるSLMの適用範囲が大幅に広がるとする。
主な特長は以下の通り。・高解像度:WUXGA規格(1920×1200),230万画素・高い位相分解能:他社8 bit(256階調)より4倍優れた10 bit(1024階調)・カスタマイズ対応:独自のSLM設計により,用途に応じたカスタマイズが可能
新製品は,特に金属加工における精度向上,加工効率の向上のほか,材料への熱影響を抑制する。溶接や穴加工、切断などのレーザー加工機,そして金属3Dプリンタ装置に搭載することで,より精緻な加工を実現するという。
近赤外線レーザーは,金属や樹脂などの材料加工において広く使用されており,従来のガルバノスキャナ技術では実現できなかった高度なレーザー加工をサポートする。同社では,1kWクラスのレーザーによるビーム成形や多点レーザー照射を通じて,金属積層造形(3Dプリンティング) に新たな付加価値を提供するとしている。