東大ら,原始惑星系円盤の姿を多波長・高解像度観測

東京大学らの国際研究グループは,おうし座の若い星(HH 30星)を取り囲む原始惑星系円盤の姿を,多波長・高解像度観測を通して明らかにした(ニュースリリース)。

系外惑星はありふれた天体だが,その形成過程は未解決のまま。惑星形成の第一歩は,原始惑星系円盤内でマイクロメートルサイズの固体微粒子から微惑星を形成することだと考えられている。この固体微粒子は円盤内で互いに衝突や付着を繰り返すことで成長する。

この成長過程において,微粒子は円盤内の同じ場所にとどまるわけではなく,原始惑星系円盤内を大規模に移動する。理論的には,より大きな微粒子ほど円盤の中心面に沈澱し,また中心星に向かって落下する傾向が予測されている。この微粒子の運動を理解することは,微惑星がいつ・どこで・どのように形成されるのかを解明する鍵となる。

研究では,原始惑星系円盤における微粒子の運動を観測的に明らかにするため,エッジオン原始惑星系円盤を持つ天体HH 30星に注目した。エッジオン円盤は観測者に対してほぼ真横を向いている原始惑星系円盤のことを指し,円盤の厚み方向や半径方向の大きさを測定するのに適している。

より大きな微粒子の空間分布を調べるためにはより長い波長の光の観測が重要となる。これまで,HH 30星ではマイクロメートルサイズ以下の微粒子の空間分布がハッブル宇宙望遠鏡による可視光・近赤外線観測で調べられていた。しかし,それより大きな微粒子の空間分布については,十分な空間解像度を持ったより長い波長での観測が行なわれていなかった。

そこで今回,ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)(近・中間赤外線)とアルマ望遠鏡(ミリ波)による高解像度観測を実施することで,この課題を克服した。得られた観測結果と数値シミュレーションの結果を比較することで,数マイクロメートルサイズ以上に成長した微粒子がまだ沈澱を起こしていないこと,そしてミリメートルサイズの微粒子は沈澱を起こし,また半径方向の空間分布が収縮していることが明らかになった。

さらに,JWSTによる観測データにおいて,高速ガス流やそれに付随する構造,円盤上面のスパイラル状構造など,多様な構造も鮮明に捉えた。

研究グループは他の3つのエッジオン原始惑星系円盤でも同様のJWSTを用いた観測を行なってきており,数マイクロメートルサイズの微粒子が沈澱している天体とそうでない天体が存在することが徐々に明らかになってきた。

研究グループは今後,こうした天体ごとの違いの起源や,固体微粒子の性質や沈殿過程の理論モデルを詳細に精査することで,微惑星の形成の解明が進むとしている。

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