徳島大ら,リモートプラズモニック光増強現象を発見

徳島大学,大阪大学,京都大学,京都府立医科大学,ウシオ電機は,従来の常識を覆す新しい現象「リモートプラズモニック光増強現象」を世界で初めて実証した(ニュースリリース)。

プラズモニクスは,金属ナノ構造における電子の集団振動であるプラズモンと光との相互作用を利用した技術で,分子分析やバイオセンシングなどにおいて高い感度を実現するための重要な手法として注目されている。

しかし,従来のプラズモニクスを利用した分子センシングでは,分子とプラズモンの相互作用が数nmの非常に短い距離に限定されていた。これは,プラズモンの発生源である金属と測定分子が接触する必要があることを意味する。

この性質により,金属ナノ構造と分子の直接接触による測定分子の変性,金属ナノ構造自体の変性などの化学的な安定性の低下や,機械的な堅牢性の欠如などが引き起こされる。これらが,プラズモンによる超高感度分子センシングの実用化における大きな障壁となっていた。

研究グループでは,銀ナノ粒子の上にシリカ柱状構造を形成することで,分子とプラズモンの相互作用を100nm以上の長距離でも発生させることができることを世界で初めて実証した。これをリモートプラズモニック光増強現象と呼んでいる。

これを,光を用いた分子検出法の一つであるラマン分光法に適用すると従来の最大107倍,また蛍光分光法に適用すると従来の最大102倍の検出能を持つ超高感度な分子検出が可能であることを示した。

また,シリカ柱状構造層が金属ナノ粒子を保護するため,化学的安定性と機械的堅牢性を兼ね備えた,長期間にわたる実用性の高い基板が実現した。この技術は,環境センシング,バイオセンシング,臨床診断などを含む幅広い分野での応用が期待される。 

研究グループは,化学的安定性と機械的堅牢性を兼ね備えた高感度分子検出が可能になることで,将来的には環境汚染物質検出,病理診断や内視鏡を用いた生体内診断など,幅広い産業・医療応用に期待されるとしている。

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