東大ら,非古典的チャネルロドプシンの機構を解明

東京大学大学と名古屋工業大学は,チャネルロドプシンであるGtCCR2及びGtCCR4の立体構造をクライオ電子顕微鏡(Cryo-EM)を用いた単粒子解析によって決定した(ニュースリリース)。

チャネルロドプシンは微生物ロドプシンの一種であり,光を受容してチャネルを開きさまざまなイオンを透過させる。2005年にチャネルロドプシン-2を用いた神経の発火の制御が報告されて以来,チャネルロドプシンは光遺伝学ツールとして広く研究・利用されてきた。

加えてチャネルロドプシンは遺伝性の難病である網膜色素変性に対する遺伝子治療薬としても研究が進められており,網膜色素変性によって視力を失った患者の網膜にチャネルロドプシンを発現させることで視力の一部を回復させた報告もされている。

GtCCRは2016年に初めて報告されたクリプト藻由来のチャネルロドプシン。このGtCCRは緑藻由来のチャネルロドプシン-2に代表される古典的チャネルロドプシンとは進化的に遠く,むしろプロトンポンプであるバクテリオロドプシンと同じモチーフを有する非古典的チャネルロドプシン。

中でもGtCCR4は,GtCCR1-3やチャネルロドプシン-2と比べ10倍以上高い光感度を有し,新規光遺伝学ツールや失明患者に対する遺伝子治療薬として研究が進められている。しかし,どのようにしてGtCCR4が高感度光受容を達成しているのか,その詳細なメカニズムは不明だった。

今回,クライオ電子顕微鏡を用いてGtCCR2及びGtCCR4の構造を決定し,さらに電気生理実験,分光実験を行なうことでGtCCR4の高感度光受容メカニズムを明らかにした。

その結果,GtCCR4はその6番目の膜貫通ヘリックスが大きく折れ曲がっていることにより活性化に伴うタンパク質骨格の構造変化を省略し,チャネルが閉じてから再び光を受容できるようになるまでの回復時間を不要とすることで高感度光受容を達成していることが示唆された。

加えて,GtCCR4の光遺伝学的特性の包括的評価,高活性変異体の創出を行ない,GtCCR4の光遺伝学ツールとしてのさらなる可能性を見出した。

研究グループは,この研究成果により,新規高感度光遺伝学ツールや網膜色素変性に対する遺伝子治療薬開発への貢献が期待されるとしている。

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