伊藤忠とBLF,戦略的業務提携契約を締結

伊藤忠商事は,核融合(フュージョン)エネルギー関連スタートアップである米Blue Laser Fusion Inc.(BLF)の第三者割当増資を引き受けるとともに,フュージョンエネルギー関連ビジネス,およびBLFが開発するレーザー技術を応用した関連ビジネスにおける戦略的業務提携契約を締結した(ニュースリリース)。

フュージョンエネルギーとは,太陽をはじめとする宇宙の星々を輝かせ続けるエネルギー源であり,実用化すれば少量の燃料から莫大なエネルギーを安定的に生み出すことが出来ると言われている。

また,エネルギーの生成過程において二酸化炭素を排出せず,加えて従来の火力発電と異なり化石燃料を必要としないことから,地球環境問題とエネルギー資源枯渇問題を解決する究極のクリーンエネルギーとして世界的に注目されている。

国内でも,2023年4月に内閣府が主導する統合イノベーション戦略推進会議において「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を策定し,その一環として産官学の連携強化を目的とする核融合産業協議会を設立するなど,フュージョンエネルギーの産業化に向けた動きが加速している。

BLFは,高輝度青色発光ダイオードの発明でノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏が共同創業者の一人として2022年11月に設立したスタートアップ企業で,BLFで開発を進めるハイパワーレーザーを用いたレーザー方式核融合炉の商用化を目指している。

レーザー核融合方式は,2022年12月に米国ローレンスリバモア国立研究所で行なわれた実証実験が成功したことで,昨今注目を集めている。またBLFは,重水素と三重水素を主燃料とする従来の核融合とは異なり,ホウ素などで構成される先進燃料を使用することで,中性子線が発生しない安全性の高い核融合炉の開発を目標としている。

伊藤忠商事は,脱炭素社会を実現するための成長戦略を策定し,目標達成に向けた施策を継続的に実行している。今回の出資を契機に,BLFとフュージョンエネルギーの商用化に向けた協業を進め,また同社のグローバルネットワークを活用することで,フュージョンエネルギーに関わる様々な分野・企業との連携を図っていくとしている。

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