宮崎大ら,CdTe中の詳細な欠陥構造を解明

宮崎大学,名古屋工業大学,中国Beijing Computational Science Research Centerは,化合物半導体の一つであるCdTe(テルル化カドミウム)中の詳細な欠陥構造を解明した(ニュースリリース)。

CdTe太陽電池は,Si太陽電池やペロブスカイト太陽電池と比べると変換効率が低い。この低い正孔濃度が,CdTe太陽電池の変換効率向上の課題だったが,近年Group-V(P,AsやSb元素)不純物ドーピングがこの課題を解決する技術として注目されている。

Group-Vドーピングを最適化するにあたって,実際に入れた不純物がどの程度正孔を生成するかの割合である活性化率が指標となるが,最大でも50%しか達成できない課題があった。

研究グループは,詳細なGroup-V不純物に起因する欠陥構造を実験的に明らかにする研究を実施した。信頼性のある結果を得るには,10の20乗個以上の膨大な数の元素が規則正しく並んだ「単結晶」サンプルが必要。そこで宮崎大学の研究グループは,不純物としてAs(ヒ素)元素をドーピングした高品質なCdTe単結晶の作製に成功した。

微名古屋工業大学の研究グループは,蛍光X線ホログラフィーによって,微量の不純物の構造を三次元的に感度良く直接観測できる技術と装置を有している。さらに,大型放射光施設SPring-8の高強度で明るいX線を利用する事で,詳細な欠陥の情報を得た。

測定の結果,これまで支持されてきた欠陥構造とは異なる情報を得た。単純なAs元素の置換欠陥だけでなく,様々な種類の欠陥が結合している複合欠陥の存在が示唆された。

さらにBeijing Computational Science Research Centerの研究グループと議論を重ね,As元素ドーピングしたCdTe単結晶中の①詳細な欠陥構造の直接観察,②新たなキャリア補償プロセスの提案,③AsCd欠陥とVCd‒AsCd複合欠陥の構造と活性化エネルギーの決定という新たな知見と技術を得た。

X線ホログラフィー測定によるGroupVドーピングした化合物半導体中の詳細な欠陥の直接観察は業界初の報告。研究グループは,これまでCdTe太陽電池特性向上の障壁となっていた低い正孔濃度を解決することで,現在の太陽電池業界のトップランナー達と同等の変換効率25%の達成に貢献するとしている。

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