キヤノンら,フォトンカウンティング検出器の臨床へ

キヤノン,キヤノンメディカルシステムズ,国立がん研究センターは,次世代のX線CTとして期待される「フォトンカウンティング検出器」を搭載したX線CTによる臨床研究を開始したと発表した(ニュースリリース)。

キヤノンメディカルは,国産としては初めての「フォトンカウンティング検出器」を搭載したⅩ線CTの医療機器としての認証を昨年12月に取得し,国立がん研究センター先端医療開発センター(EPOC),国立がん研究センター東病院(東病院)と連携し,特定臨床研究として早期のフォトンカウンティングCT(PCCT)実用化に向けた研究を開始した。

臨床研究では,EPOCに設置されたフォトンカウンティング検出器を搭載したX線CTで撮影された画像データを用いて,新たな診断法の開発とその臨床的有用性の可能性を探索することを目的としている。

従来CTのエネルギー積分型検出器(EID)は,入射したX線光子をシンチレータで光信号に変換し,その後,フォトダイオードにて電気信号に変換する。この過程で1つのシンチレータで発生した光が隣接する検出器に散乱する現象(クロストーク)が空間分解能の低下を招く。

そのためEIDではクロストークを防ぐため,シンチレータの間に反射板(隔壁)を設けるが,この隔壁はX線検出における不感領域となるため,極力薄く加工し設置する高度な加工技術と組立技術が必須となっていた。

これに対しPCCTは直接変換方式により隔壁が不要となり,X線検出の有効面積を最大限確保することができ,結果,従来よりも高効率なシグナルの検出が可能となるとする。また,半導体検出器を用いて,入射したX線光子を電気信号に直接変換する。電気信号はASIC(特定用途向け集積回路)によって読み取られ,各X線光子のエネルギーを個別にカウントする。

カウントされたX線光子は測定されたエネルギーに基づいて,複数のエネルギービン(bin)に分類することができ,透過した対象物のX線エネルギー特性を収集することが可能。また,画像再構成に使用するbinを任意に設定することで,電気系ノイズを除去することも可能となるとしている。

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