東大ら,ディラック線を持つ単原子シートを発見

東京大学,広島大学,中国科学院,北京工業大学,伊ELETTRA放射光施設は共同で,銅(Cu)とケイ素(Si)からなる化合物の単原子シート,銅シリサイド(Cu2Si)を合成し,その中に「ディラック線」が存在することを発見した(ニュースリリース)。

炭素の単原子シートであるグラフェンには「ディラック点」という特殊な電子状態が存在し,電子があたかも質量がない粒子として物質中を高速に移動するために,この物質は革新的エレクトロニクス材料として注目されている。もしもディラック点に類似した特殊な電子状態が他の単原子シートに存在すれば,さらに新しい動作原理に基づく高速エレクトロニクスが生まれる可能性が出てくる。

研究グループは,銅シリサイドの単原子シートを合成し,その電子状態を調べたところ,「ディラック線」とよばれる新たな状態が存在していることを発見した。

この状態を精密な第一原理計算により明らかにし,銅シリサイドが持つ固有の対称性によって生じている可能性が高いことを見出した。さらにこのシートについて,電気伝導を担うキャリア数を光電子分光により評価したところ,グラフェンの100倍以上多いことが分かった。

「ディラック線」の存在は三次元の物質では確認されているが,電子材料として利用可能な物質で見つかったのはこれが初めて。

この研究成果は,新材料「銅シリサイド(Cu2Si)の単原子シート」が示す新奇な電子状態の発見のみならず,次世代材料として注目されている単原子シートのディラック物質に対して新しい設計指針を提供する。またこの新材料は銅とシリコンという安価な元素から構成されており,今後,この研究成果をもとに,ディラック物質の工業利用への新しい展開が期待されるとしている。

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