名大ら,電気刺激で伝導性と発光を同時に示す物質を発見

著者: sugi


名古屋大学と信州大学らの研究グループは,ベンゼン環を環状につなげた化合物であるカーボンナノリング分子の空間内にヨウ素を閉じ込めた複合体を合成し,この複合体に電気刺激を加えることで,電子伝導性および白色発光という,従来の有機材料では得ることが難しかった2つの機能を同時に発現させることに成功した(ニュースリリース)。

電圧や光などの刺激に応答して性質が変化する刺激応答性機能物質は,記録素子や人工筋肉など,多岐に渡る応用が期待されているが,刺激応答性と機能性の両方の発現を思い通りにコントロールすることが難しく,こうした材料の合成は容易ではなかった。

研究グループは,まずカーボンナノリング分子集合体が電気刺激に応答することを発見した。さらにこのリング内の空間に機能性分子を導入すれば,電圧や光などの刺激に応答した機能性発現が可能になると考えた。

検討の結果,カーボンナノリング分子-ヨウ素の複合体を合成し,電気刺激を加えることにより電子伝導性および白色発光を発現することを見いだした。

この発見は,刺激応答性の構造体に,機能性分子を閉じ込めるという簡単な合成手法に基づくもの。今後,この手法を応用することで,さらに多様な刺激応答性機能材料の発見につながるとしている。

キーワード:

関連記事

  • 筑波大ら,放射線の種類で変わる結晶発光特性を発見

    筑波大学と東北大学は,Eu添加CaF2結晶にα線を照射すると,X線を照射したときよりも長い波長の光が多く発生することを世界で初めて発見した(ニュースリリース)。 シンチレータは放射線のエネルギーを光に変換する物質。その中…

    2025.09.10
  • 阪大,光学材料に適したヘテロ[8]サーキュレンを合成

    大阪大学の研究グループは,入手容易な市販原料であるアニリン,キノン,ナフトール類を用いて電解合成を行なうことで,世界で初めて簡便・安全・低コストな非対称ヘテロ[8]サーキュレン骨格の構築に成功した(ニュースリリース)。 …

    2025.08.28
  • 名大ら,PAHを効率的に変換・可溶化し蛍光標識剤に

    名古屋大学と理化学研究所は,有機溶媒への溶解性が低いナノカーボンの一種である多環芳香族炭化水素(PAH)を効率的に可溶化・変換させる新手法として「高溶解性スルホニウム化」の開発に成功した(ニュースリリース)。 主に六員環…

    2025.04.25
  • 東京科学大ら,人体組織を透過して光るガーゼを開発

    東京科学大学,昭和大学,京都工芸繊維大学は,医療現場で広く使用されている近赤外発光色素であるインドシアニングリーン(ICG)を用いた体内手術用の人体組織を透過して光るガーゼを開発した(ニュースリリース)。 体内手術用ガー…

    2025.02.20
  • 名大ら,ホタルの発光物質の簡便な合成に成功

    名古屋大学,産業技術総合研究所,中部大学は,ホタルの生物発光で使われる発光物質ルシフェリンの実用的なワンポット合成に成功した(ニュースリリース)。 ホタルの生物発光は,身近にみられる幻想的な生命現象としてよく知られている…

    2024.12.26
  • 東北大ら,見えない毒性ガスの発光検出材料を開発

    東北大学,九州大学,名古屋大学,京都大学は,工業製品や医薬品生産に必要でありながらも工場周辺の環境や生産現場での人体に対して危険性の高い二硫化炭素(CS2)を高感度に検出可能な材料開発に成功した(ニュースリリース)。 我…

    2024.12.23
  • 京大ら,単原子ゲルマニウム導入反応の開発に成功

    京都大学と米バーモント大学は,単原子ゲルマニウムを他の分子に導入可能な有機反応の開発に成功した(ニュースリリース)。 有機合成において,合成戦略は標的分子をより単純な部分構造に分割することに依存し,その実現性は必要な構成…

    2023.08.01
  • 慶大,窒素・酸素ハイブリッド型クラウン分子を創出

    慶應義塾大学の研究グループは,適度な立体的自由度を有する新規クラウン分子としてキノリン3量体oxa-TriQuinoline(o-TQ)を新たにデザイン・合成し,その多彩な機能性を明らかにした(ニュースリリース)。 ポル…

    2023.07.13

新着ニュース

人気記事

新着記事

  • オプトキャリア