
僕の胸はにわかにざわついた。さらに大きくドカッドカッと響いてくる音に,僕ができたことといえば,ベンチから立ち上がってただ待ち構えていることだけだった。ついに峠のすぐ下の斜面の藪の中から現れた生き物は黒い大きな猪だった。
猪は,峠の直下を尾根に平行に,僕の目の前を猛烈な勢いで駆け抜けていった。猪突猛進とはこのことかと冷静に観察する自分がいる一方で,実際には僕はその場に凍りついたまま,しばらく動くことができなかった。静かな峠に心臓の音がドキドキと響いていた。
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