量子テクノロジーパズルゲーム —光周波数コムと超安定レーザーが可能にする第二の量子革命—

5. 問題を求める解決策

光原子時計は,商業的な実現が目前に迫っている技術のひとつに過ぎない。アトムコンピューティング社などの量子技術企業は,すでにストロンチウム原子をベースにしたスケーラブルな量子コンピュータにFC1500-Quantumを採用している6)。彼らの目的は,薬物設計や計算化学などの改善など,スーパーコンピュータでも取り組めない問題を解決することである。

量子テクノロジーの未来は明るい。研究はその限界を超え,新しいアイデアが日々生まれている。約60年前,レーザーの発明者であるセオドア・マイマンは,「レーザーは問題を解決するものである」と言った。それから数十年後,レーザーは当時誰も考えつかなかったような問題を解決している。レーザーは現在,量子技術を実現するための重要な構成要素となっている。このように,量子技術の将来的な可能性は無限であり,私たちは現在の問題や,現在ではまだ想像もつかないような多くの問題の解決に向けて取り組んでいる。

参考文献
1)E. Schrödinger: Brit. J. Phil. Sci. 3 (1952) 11, 233-242.
2)J. Reichert et al:Opt. Commun. 172 (1999) 1-6, 59-68.
3)R. W. P. Drever et al: Appl. Phys. B. 31 (1983) 97-105.
4)M. Giunta et al: Nat. Photonics 14 (2020) 44-49.
5)E. Oelker et al: Nat. フォトニクス 13 (2019) 714-719.

6)https://doi.org/10.1364/QUANTUM.2020.QTu8A.3

■The Quantum Technology Puzzle Game
■①Benjamin Sprenger
Menlo Systems のベルリン地域担当マネージャーであり,量子テクノロジーと計測のエキスパート。インペリアル・カレッジ・ロンドン(英国)とバークレー大学(米国カリフォルニア州)で物理学を学び,エルランゲンのマックス・プランク光科学研究所で博士号を取得後,ベルリンのフンボルト大学で量子光学のポスドク研究員を務める。2015年にメンローシステムズに周波数コムや光リファレンスシステムのセールスエンジニアとして入社。
②Patrizia Krok
メンローシステムズのテクニカルマーケティングの責任者。ミュンヘン工科大学で物理学を学び,ガルヒングのマックス・プランク量子光学研究所を卒業,ルートヴィヒ・マキシミリアン大学ミュンヘンで博士号を取得後,ステレンボッシュ大学(南アフリカ)でポスドク研究員を務め,フェムト秒分光のバックグラウンドを持つ。2010年にテラヘルツシステムのセールスエンジニアとしてメンローシステムズに入社。
■Menlo Systems
メンローシステムズは,高精度な計測機器の開発および世界的な供給を行っているリーディングカンパニー。ミュンヘン近郊のマルティンスリードに本社を置く同社は,ノーベル賞を受賞した光周波数コム技術で知られている。米国,中国,日本に子会社を持ち,世界的な販売代理店網を持つメンローシステムズは,科学や産業界の顧客と密接に連携している。メンローシステムズは,量子テクノロジーに関する商用ソリューションを提供し,この分野の主要企業や研究機関と提携することで,量子アプリケーションの発展を加速させるという使命に応えている。

(月刊OPTRONICS 2023年2月号)

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