INFIQ®鉛含有/非含有量子ドット:特性と応用

1. はじめに

INFIQ®量子ドット(QD)には,硫化鉛ベースのナノ粒子(INFIQ® HP-QD)と鉛を含まないナノ粒子(INFIQ® LF-QD)とがあり,電磁スペクトルのうち,近赤外(NIR)波長と短波赤外(SWIR)波長を吸収・放出する能力を有している。量子ドットテクノロジーは,光検出器や太陽光発電,赤外線発光体への商業的応用に向け,研究・開発が盛んに行われている。

2. 背景

シリコンセンサーは,最先端のものでもNIR領域までの光しか吸収できない。シリコン固有の性質ゆえに,それ以上の波長を持つSWIR領域の光は透過してしまうためである。従って,シリコンセンサーには,SWIRの検出能力はない。インジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)は,開発されてから60年以上が経つが,製造技術が複雑であるため,InGaAsセンサーは,今なお極めて高価である。InGaAsもまた,波長領域が限定されており,しかもピクセルサイズが大きいため,低解像度画像しか得られない。また,冷却システムが必要なため,それが小型化を阻む課題となりうる。

もうひとつの選択肢として,シリコン・ゲルマニウム(SiGe)があげられるが,ノイズが多い,ピクセルピッチが大きいため解像度が低い,スペクトル領域が狭く潜在的用途が限られるなど,性能の低さが知られている。こうした中,新たに登場したQDテクノロジーは,これら全ての問題を解決することができる。まず,InGaAsと比べると,製造コストが1~3桁低い。QDは,スケーラブルな技術で,相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor;CMOS)のプロセスと互換性がある。また,InGaAsより小さなピクセルピッチの画像設計が可能で,10倍の解像度が実現でき,可視光から拡張SWIR領域まで,スペクトル吸収の範囲も広い。QDは,画像化技術として完璧であり,消費者市場に適用される初のSWIR技術になると考えられている。

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