ファイバーレーザー

例えば,日本とアメリカの間(9600 km)の太平洋の海底ケーブルを使って通信するとき,途中で何もしなければ相手側まで伝送することは出来ません。そこで,途中に光信号を電気信号に変換して,電気的に増幅し,それから再度光に変換して伝送するべく,太平洋の中継器が設置されていました。この中継器のために,別途電力ケーブルを設置して,電気エネルギーの供給も行わなくてはなりませんでした。Er添加光ファイバーが開発され,光で光の増幅が行えるようになったため,以前のように電気エネルギーを送る必要が無くなり,大変便利になりました。

このようなファイバーレーザーは,
1.細いファイバー内に光を閉じ込めるためエネルギー変換効率が高い
2.ファイバーは細くて表面積が大きいので冷却が容易で高出力化できる
3.ファイバーと光部品を一体化できるため光軸のずれがなく高安定・高信頼
4.ファイバー出力のためビーム品質に優れている

などの特徴を持っています。


図3
図3

光通信以外の応用に用いられる高出力型ファイバーレーザーとしては,Yb(イッテルビウム)添加ファイバーレーザーが開発されています。これは950 nmの半導体レーザーで励起し,1030~1100 nmで発振します。このような連続発振(CW)ファイバーレーザーの主な用途は鉄板の切断や溶接などの加工野です。このような高出力ファイバーレーザーは,図3のように,コアにErやYbなどの希土類元素を添加したダブルクラッド構造が使われます。コアの屈折率が最も高く,外側に行くにしたがって低くなっています。

励起に高出力半導体レーザー(LD)が使われ,半導体レーザーに繋がれた光ファイバーを通してダブルクラッドファイバーの第1クラッドに入射されますが,複数の半導体レーザー光を有効に利用するために,複数の光ファイバー光を一本にするためのポンプコンバイナーと呼ばれる結合器を通して入射されます。


図4
図4

ファイバーの両端には,ファイバーブラッグ回折格子(FBG:Fiber Bragg Grating)が融着されており,共振器を構成しています。出力側には,ハイパワー向けに設計された出力ファイバーが融着接続されており,コリメーターを介して出力する仕組みになっています。このときに得られるビーム品質は理想的なM2=1となるように設計されています。


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