ファイバーレーザー

このシステムの中で使われている素子について説明しておきます。


図5
図5

図5のように,光ファイバーの中に屈折率の高い領域を周期的に製作すると,屈折率の異なる領域の界面において反射を繰り返す中,特定の波長の光だけを反射して,それ以外の波長の光を透過する性質を持たせることができます。光ファイバーにおけるこのような構造をファイバーブラッグ回折格子と呼んでいます。屈折率の値と高屈折率層の厚さ及び繰り返し層数を調整し,望みの波長の光だけを反射するものを作ることができます。増幅する部分と反射鏡に替わるFBGの両方を光ファイバーの中につくることができますので,損失の少ない構造となります。

増幅された光は,直径の小さなコアから出てきますので,そのままですと,空気中で広がっていきます。そこで,図6のようにファイバーの出口付近に凸レンズを置いて,平行ビームが得られるようにします。

凸レンズは,中央部が厚くなっており,周辺に行くほど薄い構造を持っています。中央付近は,高屈折率領域を長く進み,周辺に行くほど距離は短くなります。その結果,凸レンズを通過した光が中央に集まります。


図6
図6

そこで,図6下のように,厚さは一定ですが,中央部の屈折率を高くし,周辺に行くほど屈折率が低くなるような構造を作ってやれば,凸レンズと同じ働きをさせることができます。

科学的に言いますと,(屈折率)×(厚さ)の大きい方に光が集まります。このような構造を屈折率分布レンズ(GRIN:Graded Index Lens,Gradient Index Lens)と呼んでいます。このレンズを使って,光ファイバーレーザーの出力光を平行光にすることができます。このようなレンズを,特にファイバーコリメータと呼ぶ場合もあります。

連続発振ファイバーレーザーとは別に,パルス発振ファイバーレーザーもあります。パルス光を半導体レーザーで作るものやファイバーレーザーで作るものがあります。この種光を光ファイバー増幅器に入れて増幅します。


図7
図7

図7に,プリアンプで少しだけ増幅した後,メインアンプで大きく増幅する,2段増幅システムが描いてあります。このような構成を,主発振器(Master Oscillator)と増幅器(Power Amplifier)を組み合わせたMOPA構成と呼ぶこともあります。

種光となる半導体レーザー(LD)をパルスジェネレーターでパルス発振させていますので,パルス幅や繰り返し周波数等のパルス特性をパルスジェネレーターで制御できる利点があります。また,種光を高品質にすることで,最終段の高出力レーザー光を高品質で高安定に供給できます。

バンドパスフィルターは,レーザーにとっては邪魔なプリアンプで発生した自然増幅光(ASE)を除去するためのものです。出力があまり高くないパルスファイバーレーザーの主な用途は,金属表面に記号を書き込んだり,薄膜を成形するなどの高精密な微細加工です。

宮崎大学・名誉教授 黒澤 宏


黒澤 宏
黒澤 宏
執筆者紹介
黒澤 宏(くろさわ こう)
大阪府立大学工学部博士課程を経て1976年より同大学助手,助教授を経て1991年より宮崎大学工学部電気工学科教授,その後2007年9月に大学教員生活に終止符を打ち,(独)科学技術振興機構JSTイノベーションサテライト宮崎の館長に就任し,地域における産学官連携業務に専念。現在は(一社)九州産業技術センター 成功報酬型事業化支援制度・専任コーティネータを務めている。レーザーEXPOにおいては,2003年から主に基礎部門の講師を務めており,初心者にわかりやすくレーザーについて解説している。

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