NECは,光ファイバセンシング技術を活用し全線の道路状況をリアルタイムに把握し,突発的な渋滞の状況を高精度に予測する技術を開発した(ニュースリリース)。
現在,交通状況の把握には,主にカメラやループコイルなどの断面交通量計,およびETC2.0プローブデータを利用しているが,前者は設置・維持コストの問題により道路全線をカバーすることが難しく,後者は車両がデータを受信するスポットを通過した際にデータが収集されるため,状況把握のリアルタイム性に課題がある。
また,渋滞予測は過去の長期データを学習させたモデルで予測するため,突発渋滞のような過去データと傾向が異なる場合に,その渋滞の拡大過程を高精度に予測することが困難だった。
同社はこれまで光ファイバセンシング技術を活用し,道路沿いに敷設されている通信用光ファイバを活用することで,道路全線の交通流データをリアルタイムに取得する技術を開発してきた。今回,さらに独自の渋滞予測モデルを開発し,突発的な渋滞が発生してもその延伸・解消過程をリアルタイム且つ高精度に予測することを可能とした。
リアルタイムに取得した全線交通流データを精度良くモデル化し,シミュレーションに逐次適用させるため,新たにモデルパラメータ最適化手法とデータ適合手法を取り入れたデータ同化アルゴリズムを開発した。
①モデルパラメータの最適値を推定するアルゴリズム(モデルパラメータ最適化)
:シミュレーション結果が,取得した全線交通流データを再現するよう,車間距離調整などの車両挙動発生確率のような理論モデル内のパラメータを最適化するアルゴリズムを開発した。
②取得した全線交通流データをシミュレーションへ反映可能にするデータ変換アルゴリズム(データ適合):交通流の“平均速度”から各車両の“位置/速度”といった取得データがシミュレーションの入力形式と異なるパラメータのデータをシミュレーションへ適用できるデータに変換するアルゴリズムを開発。
これにより,取得した全線交通流データに基づいたシミュレーション初期条件が設定可能となり,シミュレーション結果の信頼度が向上した。
これらの技術により,渋滞発生直後から解消まで,従来のカメラなどの断面交通量情報と比較して,渋滞予測の1つの指標である旅行時間の予測誤差が約80%低減できることを実データで確認したという。
同社は実用化に向け,実環境での実証実験を進めており,道路管理者との連携を強化しながら2026年度までの実用化を目指すとしている。




