東北大,アンテナタンパク質の結合数を顕微鏡で解明

東北大学の研究グループは,独自に開発した顕微鏡技術により,藻の一種クラミドモナスの細胞内でアンテナタンパク質が約9個結合した塊となって働くことを初めて明らかにした(ニュースリリース)。

光合成で光エネルギーを集める役割を担っているのはアンテナタンパク質と呼ばれるタンパク質。光を効率よく吸収するために,多数のアンテナタンパク質が結合して大きな塊となることが知られているが,実際の細胞中でどの程度の数のタンパク質が結合しているのかは分かっていなかった。

研究グループはこれまで,特殊な光学顕微鏡を開発してきた。開発した顕微鏡の中には,サンプル中の異なる色素それぞれが吸収した光エネルギーが,蛍光信号に変換される効率を測定することが可能なものがある。

多くの光合成生物は二種類のクロロフィル,クロロフィルaとクロロフィルbを持つ。反応中心にはクロロフィルaしか存在していないのに対して,アンテナタンパク質にはクロロフィルbが結合している。そこで,この顕微鏡を用いてクロロフィルbが吸収した光がどれだけ反応中心まで運ばれたかを決定できれば,反応中心に結合するアンテナタンパク質の数を見積もることができる。

研究グループは,クラミドモナスの細胞をこの顕微鏡で測定し,クロロフィルbが吸収した光エネルギーが反応中心に運ばれた割合を測定した。その結果,クラミドモナスの細胞中では,反応中心に追加で5個から7個,場合によっては9個のアンテナタンパク質が結合していることが分かった。

さらに,クラミドモナス細胞内にはピレノイドという特殊な部位があるが,この部位の周囲で特にアンテナタンパク質の数が多いという傾向があることも分かった。ピレノイドは,空気中の二酸化炭素を別の物質に変換する酵素が濃縮された細胞内の部位で,二酸化炭素を糖に変換する最初の反応が行なわれる部分にあたる。

これは,ピレノイド周囲では光化学系IIを働かなくさせる代わりに,光化学系Iの機能は増強しているという状況が実現していることを示している。細胞内部の部位ごとに分業して光合成を行なっていることが示唆されたことを意味する。

二酸化炭素の変換反応に特化した細胞内の部位であるピレノイドの機能は非常に注目されており,今回の発見はピレノイドの働き方にも関連する重要なものだとする。

研究グループは,今回得られた知見は,今後,人工的な光合成を実現する際のヒントにもなると期待されるとしている。

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