産業技術総合研究所(産総研)は,ミリ波からテラヘルツ波にわたる電磁波の測定における導波路の接続状態を,機械学習を用いて自動判定する技術を開発した(ニュースリリース)。
ミリ波からテラヘルツ波にわたる高周波帯の電磁波を扱うデバイスに多数搭載されている電子部品の透過特性や反射特性などの性能を評価する際,評価対象である電子部品と導波路を接続する作業が生じる。従来,導波路の接続状態は目視や手作業で確認していたが,測定精度にばらつきが生じていた。
研究では,測定データから特徴を抽出し,接続状態を自動的に分類・判定するシステムを構築した。接続状態の分類・判定には機械学習を取り入れた。また,導波路の接続状態によって変化する測定データを収集し,それを参照データとして活用した。
開発したアルゴリズムは参照データを収集した時に使用したデバイス種だけではなく,参照データを変えることなくその他のデバイス種に対して使用することができる。例えば,透過型のデバイスの測定結果を参照データとした場合でも反射型のデバイスの接続状態の判定が可能。
さらに,単一の測定システムおよび周波数帯だけでなく,異なるメーカー・異なる周波数帯(1GHz〜220GHz,220GHz〜330GHz,750GHz〜1.1THz)の複数の計測システムでも実証を行ない,開発したアルゴリズムの汎用性を確認した。これにより,従来の目視や手作業に依存しない,客観的かつ一貫した測定精度の確保が可能となった。
データの判定においては,測定結果に対して多項式フィッティングを行ない,得られた多項式から特定の次数の係数を用いてデータ群の密度解析を行なう。この時のデータ密度は局所外れ値因子(LOF)として出力される。LOFが1に近い場合,その点の密度は周囲と同程度であり,外れ値ではないと判断される。一方で,LOFが1より大きい場合は,データ密度が低く外れ値である可能性が高くなる。
この手法では,参照データ群の中に投入したテストデータのデータ密度から接続状態を判定することで,接続の良否をLOFの値で判定することが可能となる。
開発したアルゴリズムを,一般的に校正に用いられる校正用基準器群の他,1インチ長の導波路を用いたテストデータにおいて動作実証した結果,どの事例においても,LOFの値は導波路の接続状態によって有意差が認められ,接続状態を適切に判定できることが確認されたという。
研究グループは,不慣れな作業者でも高精度な測定を安定して実施できるようになり,産業分野におけるミリ波・テラヘルツ波技術の研究開発の加速化が期待されるとしている。
