京都大学の研究グループは,光ファイバーセンシング技術を用いて京都府南部で発生した地震を捉え,次世代型の地震観測の有効性を実証した(ニュースリリース)。
地震の詳細な調査を⾏なうためには,⼤量の感度の⾼い地震計を設置する必要がる。しかしこのような地震計を超⾼密に設置する作業は現実的ではなく,地震波がどのように伝わっているかを測定するには限界があった。
光ファイバーセンシングの⼀つ,分散型⾳響センシング(DAS)では,⼀本の光ファイバーケーブルのどこで,どのくらいの伸縮があったかを,⾼精度に測定できる。研究グループは地震観測を⽬的に,この技術を京都の国道沿いに敷設されている約50kmの光ファイバーケーブルに対して⽤いた。
従来の地震観測では,観測装置を⼀つ⼀つ地表に設置する必要があった。しかしこの技術では,既設の光ファイバーケーブルの端に装置を取り付けるだけで,ケーブル沿いの約1万か所もの場所で,地震の揺れを捉える事ができた。
さらに地震波の振幅に関する⼤量のデータを活⽤し,⼩地震の発⽣過程を求めることに,世界で初めて成功した。これにより地震計を使わなくても,地震に関する観測研究が進められることを実証した。
また,2021年8⽉下旬から1か⽉間,京都国道で初めて⾏ったDAS測定では,同地域で発⽣が報告されている⼩地震の殆どが捉えられることを確認した。国道沿いの光ファイバーケーブルを⽤いているため,交通ノイズが⼤きいという影響もあったが,M2.8の地震が光ファイバーケーブルのほぼ真下で発⽣し,P波,S波の広がりをケーブル全体にわたって明瞭に捉えた。
特にS波到達の8-14秒後に,特徴的な後続波を観測した。これは下部地殻に存在する構造によって反射したS波と考えられるという。これまでも同様の反射波が地震計による観測で捉えられており,100個以上の⼩地震を⽤いて調査されてきたが,光ファイバーケーブルを使った観測では,たった⼀つの地震で反射波の分布を捉えることができたという。
国が管理する河川・道路における光ファイバーケーブルの総延⻑は,約39,000kmあるとされている。さらに⺠間通信業者のケーブルを合わせると,国内の光ファイバーケーブルは全国を網羅することができる。
研究グループは,仮にこれらの光ファイバーケーブルを地震観測に活⽤することができれば,既存の地震観測の省⼒化を進めることができ,より詳細な地震観測や,地震の調査が⾏なえるようになり,緊急地震速報などの防災対策にも役⽴てられることが期待されるとしている。




