産総研ら,ガラスにナノ周期構造を低欠損で作成

産業技術総合研究所(産総研)と東京農工大学は,レーザー加工によりガラス表面にナノメートルサイズの周期構造(ナノ周期構造)を低欠損で形成するデータ駆動型レーザー加工技術を開発した(ニュースリリース)。

ガラスの表面へナノ周期構造を形成することで,低反射表面などの効果を付与することができる。しかし,ガラス表面へのナノ加工はガラスの表面状態やレーザーの照射条件に大きく依存するため,クラックなど欠損のないナノ周期構造を安定に形成することは難しかった。

研究グループは今回,ガラス表面のナノ周期構造をリアルタイムにモニタリングしたデータをもとに,フェムト秒レーザーパルスの強度を高速にフィードバック制御できるデータ駆動型レーザー加工システムの構築に取り組んだ。

ガラス表面に光の波長以下の大きさのナノ周期構造があると,表面の反射率は減少し,透過率が増加する。研究グループはこの現象に着目。フェムト秒レーザーパルスで合成石英ガラスにレーザー加工し,このガラス表面に,異なる波長のLEDをそれぞれ同軸落射,透過照明光源として使用し,波長ごとの顕微画像を取得した。

得られた顕微画像から,未加工領域からの反射光強度に対するレーザー加工領域からの反射光強度の比(相対反射率)と,未加工領域からの透過光強度に対するレーザー加工領域からの透過光強度の比(相対透過率)を求めた。

さらに,加工後のガラス基板の表面と断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し,レーザー加工時にモニタリングした相対反射率と相対透過率とを紐づけたプロセスデータベースを作成した。その結果,ある相対反射率・透過率において,周期が約200nm,深さが約1µmの直線状のナノ周期構造が均一に形成されることを見いだした。

次に,レーザー照射中の相対反射率と相対透過率が所望のナノ周期構造を形成する値となるように,フェムト秒レーザーパルスの強度をフィードバック制御すると,1ライン照射領域内(長さ1mm)でのナノ周期構造の欠損率は,制御しない場合と比較して約10分の1に低減できることを示した。

さらに,横100µm,縦20µmの領域をレーザー加工したところ,データ駆動型レーザー加工システムによるフィードバック制御によって欠損率を約30分の1に低減でき,ガラス両面にナノ周期構造を形成した低反射ガラスの形成に成功した。

研究グループは,光の反射・吸収・透過量などが制御された高い機能を,必要な部分に位置選択的に付与した光学部品製造へ貢献する成果だとしている。

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