OptQCは,グローバル・ブレインをリードインベスターとして,東京大学協創プラットフォーム開発,デライト・ベンチャーズ,科学技術振興機構を引受先とする第三者割当増資を実施し,総額6.5億円の資金調達を完了したと発表した(ニュースリリース)。
量子コンピュータは,従来のコンピュータでは困難な計算を可能にする次世代の情報処理基盤として注目されており,機械学習,新薬開発,金融リスク管理,材料設計など,社会的インパクトの大きい分野での活用が期待されている。
現在,超伝導回路や冷却原子などを用いる量子コンピュータの産業応用に向けた研究開発がグローバルで活発に行なわれている。しかし,従来方式では産業応用に必要な大規模な量子ビット数の実現が難しく,さらに極低温や特殊環境が必要であるため消費エネルギーが高いという課題がある。
これらの課題が量子コンピュータの実機供給を制約しており,研究や産業応用の拡大を阻む要因となっているという。
同社はこのような課題を解決すべく,光量子技術を活用した革新的なアプローチを推進している。同社は東京大学大学院工学系研究科・古澤研究室の20年以上にわたる研究成果を基に設立され,以下の特長を持つ光量子コンピュータの開発に注力している。
・常温常圧での動作:特殊環境を必要とせず,運用の柔軟性と経済性に優れる。
・優れたスケーラビリティ:独自技術により量子ビット数の効率的な拡張が可能。
・高速情報処理能力:高いクロック周波数による超高速計算が可能。
同社は世界初となる光量子コンピュータ商用機を2026年4月に公開することを目指し,クラウドまたはオンプレミスでアカデミアや産業界の幅広いユーザーに提供することで,革新的な成果が生み出される環境を整備するという。
今回の資金調達により,同社は2026年4月に公開を目指す光量子コンピュータ商用機の開発を一層加速するとしている。