東京科学大,どこでも分析できる免疫センサーを開発

東京科学大学の研究グループは,抗原を混ぜるだけで発光色が青から赤へ変化する頑強な生物発光免疫センサーBRET nano Q-bodyの開発に成功した。さらに,この免疫センサーを持ち運びが容易な紙デバイスに加工することで,どこでも手軽に分析できるようになった(ニュースリリース)。

免疫測定法は,抗原抗体反応を使って試料中のごくわずかな物質を特異的に測定する方法で,病気の診断や食品の安全管理,環境調査などで重要な役割を果たしている。近年では特に,患者の傍らでリアルタイムに診断して治療の方針を決める臨床現場即時検査(Point of Care Testing:POCT)の重要性が増しており,より安定で簡便かつ素早く抗原を検出できる免疫センサーの開発が求められている。

開発した生物発光免疫センサーBRET nano Q-bodyは,ラクダ科動物に由来する重鎖抗体の可変領域(ナノボディ)に,赤色の蛍光色素TAMRAが化学修飾されており,さらにリンカーを介して青色の生物発光酵素NanoLucが融合されている。

ナノボディは高温下や変性条件下といったタンパク質にとって過酷な環境でも安定性が高く,NanoLucは明るい生物発光を示すという特長を持つ。これらの特長を生かすことで,POCTに適した,丈夫で長持ちし,かつ応答の大きい免疫センサーを作製できると研究グループは考えた。

生物発光は,励起光を必要とせず,蛍光に比べて光散乱の影響が少ないことが知られている。そのため,生物発光を利用したこの免疫センサーは,よりシンプルな検出装置で操作でき,不透明な懸濁液への応用も視野に入れることができる。

さらに,この免疫センサーをろ紙に染み込ませたあと,凍結乾燥により紙デバイスに加工したところ,室温で1カ月放置したあとでも抗原を検出可能であることが確認できたという。

この免疫センサーの生物発光シグナルは,肉眼やスマートフォンなどでも確認できるため,研究グループは,ベッドサイドだけでなく,野外や家などでの「その場」分析にも大きく貢献することが期待されると。

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