鳥取大,幼虫が示す青色蛍光の生態的役割を解明

著者: 梅村 舞香

鳥取大学の研究グループは,有毒であるにもかかわらず地味な体色をもつガ「オキナワルリチラシ」の幼虫が,紫外線下で鮮やかな青色蛍光を発することを初めて明らかにし,この蛍光が捕食者に対する警告色として機能している可能性を示した(ニュースリリース)。

動物の中には,毒や針などの防御手段を持つ一方で,鮮やかな体色を示すことで捕食者に危険を知らせる警告色を発達させてきた種が多数知られている。昆虫でも,特に毒を持つ種では赤,黄,黒などの派手な模様を持つ例が多く知られている。

一方で,一見して地味な体色をしているにもかかわらず,有毒である種も存在し,こうした生物がどのように捕食者に危険性を伝えているのかは未解明な点が多く残されている。

研究グループは,マダラガ科に属するガ「オキナワルリチラシ(Eterusia aedea)」の幼虫が,紫外線(UV)を照射することで鮮やかな青色蛍光を発することを発見した。特に,体表から分泌される粘液は幼虫本体よりも強く発光し,そのピーク波長は約446nmであることが分かった。

この蛍光は,青色の感受性が低い人間の目では見えにくいものの,多くの鳥類や爬虫類は青〜紫外線領域の光を識別できる視覚を持つため,彼らの目にははっきりと視認可能であると考えられる。つまり,オキナワルリチラシの幼虫は,人間にとっては地味に見えるものの,捕食者にとっては青く光る体が明確な警告シグナルになっている可能性があるという。

蛍光を発するガの幼虫はこれまでも報告されていたが,マダラガ科における事例は今回の研究が初めてとなる。また,同じ科の多くの種が鮮やかな体色による警告を行なう中,オキナワルリチラシのように地味な体色を持ちながら蛍光で警告するという戦略は珍しく,捕食者によって見え方が異なることを利用した二重戦略である可能性が示唆された。

研究グループは,今回の研究は,昆虫の蛍光が単なる副産物ではなく,警告色の一部として機能している可能性を初めて示した重要な成果で,今後は,実際に野外でこの蛍光が捕食者によって視認され,学習による忌避行動が形成されるかどうかを,実験を通じて明らかにしていく予定だとしている。

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