マクセルは,2023年8月に開発した「Bright Mirror Display(BM-Display)」を応用し,物流業界の安全性の課題解決に向けた,物流トラック向けガラス投写型ディスプレーを開発し,NIPPON EXPRESSホールディングスと安全性の定量評価を目的に実証実験を実施した(製品HP)。
同社は2021年4月より乗用車向けのAR-HUDを量産している。この製品は,AR-HUDで培った高効率なバックライト技術をベースに製品の小型化(約0.9L)と高輝度化(10,000cd/m2以上)を実現し,これまで搭載できなかったトラック,バス,電車など垂直に近いフロントガラスにも投写することができるという。
視野角は4.4×2.0deg,セット容積は約0.9L,解像度は800×480pixel,質量は0.6kgとなっている。2024年5月より,同社はNIPPON EXPRESSホールディングスと共同で,この製品を物流トラックに搭載し,運転時の視点の移動量,移動時間,視点範囲などを定量的に評価した。
評価の結果,この製品を搭載することで,搭載しない場合に比べ,視点移動量の低減(約37%低減),視点移動時間の短縮(約39%短縮),表示位置がカーブ時などを含めた運転中の視点移動範囲にあることから,運転時の負荷低減に繋がることがわかったという。
今回の定量評価結果を基に,とくに新人ドライバーなど不慣れなドライバーや高齢ドライバーの運転をサポートし,雇用の確保,安全性の向上,業務効率の改善など,物流業界の課題解決に向け早期製品化,また,バス,電車,重機などにも展開し,商用車全体の安全性向上をめざすとしている。