阪大ら,レーザー核融合プラズマへの加熱を実証

大阪大学,米ロチェスター大学の研究グループは,大阪大学の大型レーザー装置GXII/LFEXを用いた実験を行ない,高強度レーザーを高密度爆縮プラズマに直接照射し,加熱媒体であるレーザー加速電子ビームが高密度プラズマを加熱している様子を世界で初めて明らかにした(ニュースリリース)。

米仏で主流のレーザー核融合の「中心点火」方式では,核融合燃料を高エネルギーレーザーで圧縮することで燃料中心部を高温化し,燃料を点火,燃焼させてエネルギーを取り出す。しかし近年の研究では燃料の流体混合が原因で核融合燃料点火が起こらないという問題に直面している。

一方,この研究で用いている「高速点火」方式は高強度レーザーを注入することで燃料点火温度まで加熱するためこの問題を回避することができ,現在の主流に替わる手法として注目されている。

「高速点火」方式では,まず(1)複数のナノ秒レーザーを用いて核融合燃料を予め高密度に圧縮し,(2)外部からピコ秒の高強度レーザーを照射し,ピコ秒程度で瞬間的に加熱することで,(3)核融合反応を点火し,燃料の大部分を燃焼させ,エネルギーを生み出す。

通常,レーザー核融合の高密度燃料は数mmにもなる低密度プラズマに覆われており,燃料を加熱するためには高強度レーザーはその低密度プラズマ中を燃料近傍まで通り抜ける必要がある。

しかしその際に様々な不安定性が励起されてレーザーエネルギーが散逸することが予想されており,研究グループは2001年にコーン・シェル・ターゲット(核融合燃料を封入したシェル(球殻)に,コーン(円錐)を取り付けたターゲット(レーザー標的))を利用して燃料加熱を実証した。

これによりコーン・シェル・ターゲットを用いて世界各国で研究が繰り広げられたが,レーザー照射の対称性を崩してしまう上,燃料に不純物を含むことになり,燃料の構造も複雑化することでコストアップも懸念されている。

今回,研究グループは,高強度レーザーのプラズマ中における相対論的効果を利用することにより,低密度プラズマ中を安定に加熱レーザーエネルギーが伝搬し,加熱媒体である高エネルギー電子が燃料を加熱する様子を明らかにした。

この実験での条件では加熱レーザーから高密度プラズマへ与えられるエネルギーの割合はおよそ1%だったが,実験結果とシミュレーションを用いた解析により,高強度レーザーやプラズマの条件を最適化することで12%以上が見込まれることも示した。

これによりレーザー核融合燃料を点火し,燃焼できるようになることが期待できるとしている。

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