原研ら,使用済燃料からレーザーでパラジウムを分離

日本原子力研究開発機構(原研)と,量子科学技術研究開発機構(量研機構)は,原子力発電で使用された燃料(使用済燃料)から高純度のパラジウムを分離し,パラジウム-107(107Pd)の存在量を世界で初めて測定した(ニュースリリース)。

107Pdは,ウランの核分裂によって生成する半減期の長い放射性核種の1つで,使用済燃料中に存在する。放射線を長期間放出し人体に影響を及ぼす可能性があるため,その存在量を正確に把握する必要がある。しかし,現状では107Pdの分析法がなく,実測値の代わりに理論計算による推定値が使われている。

107Pdを正確に測定するには,使用済燃料から純度の高いパラジウムを分離できる方法が不可欠。しかし,使用済燃料は,主成分のウランの他,多種多様な元素で構成され,そのうえ強い放射能をもつため,分離が難しく,確実な方法がないことが課題となっていた。

今回開発した方法は,離れた場所から試料にレーザーを照射して選択的にパラジウムを沈殿させることにより,99.9%以上の純度でパラジウムを簡便に分離できる。

具体的には,エタノールを添加した使用済燃料溶解液を石英セルに入れて密閉し,パルスレーザーを照射して電荷をもたない金属パラジウムへと還元する「レーザー誘起光還元法」を用いる。

この方法は外部からのレーザー照射によって,密閉したガラス容器内で還元反応を起こせることから,放射性物質が飛散するおそれがない。生成した金属パラジウムは凝集して大きな粒子へと成長して沈殿するので,回収して王水で溶解すると,高純度のパラジウム溶液が得られる。

研究グループは今後,破損した燃料や高レベル放射性廃棄物といった放射性物質を多量に含む試料に適用することにより,作業者の被ばくや分析設備の汚染を大幅に低減できるとしている。

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