月刊OPTRONICS 2015年 1月号特集連動企画

XFELの機能向上と新たな観察法

2015年10月1日
東大ら,XFELの可干渉性の可視化に成功
ヤングの実験で用いられている二重スリットの代わりに大小2つの大きさの球状粒子を利用する。そして,X線が照射された粒子からの散乱波の干渉パターン画像を測定・解析することで,粒子位置におけるXFEL光の位相がどの程度揃っているのかを評価する。

2015年9月25日
KEKら,光電子回折法による分子ムービーの原理を実証
試料分子の向きをより良く揃えることにより,干渉パターンを観測することができれば,超高速で進行する分子の光化学反応途中の分子構造の変化を精度よく決めること,すなわち「分子ムービー」の構築が可能となる。

2015年9月7日
複合化セラミックスシンチレーターのX線高空間分解能イメージングへの応用
シンチレーターと結像光学系を用いたX線の間接変換検出によるX線の高空間分解能イメージングの手法を,間接変換検出の問題を解決する新たな薄膜シンチレーターの製法と共に紹介する。

2015年9月1日
東大ら,世界最短波長の原子準位レーザーを実現
X線領域の原子準位レーザーを実現するためには,原子を取り巻く電子のうち,最も原子核に近い電子を効率的に取り除く必要がある。研究グループは,X線自由電子レーザー施設「SACLA」の「2段集光光学システム」を使って,この特異な状態をつくり出すことに成功した。

2015年6月9日
SACLA,新ビームラインの共用を開始
理化学研究所(理研),高輝度光科学研究センター(JASRI)は,SACLAの新しいXFELビームライン「BL2」の共用運転を,2015年4月17日に開始した。これによってSACLAは,複数のXFELビームラインが同時に稼働する世界初の施設となった。

2015年2月19日
理研,XFELのポンプ・プローブ法の高精度化による時間分解能の向上に成功
ヤングの実験で用いられている二重スリットの代わりに大小2つの大きさの球状粒子を利用する。そして,X線が照射された粒子からの散乱波の干渉パターン画像を測定・解析することで,粒子位置におけるXFEL光の位相がどの程度揃っているのかを評価する。

2015年1月29日
理研ら,X線回折イメージングの分解能と信頼性を大幅に向上
重原子法に用いられるアルゴリズムを組み込んだ独自の解析ソフトウエアを開発し,回折パターンから導出された金粒子配置を既知の試料情報として位相回復計算に利用する新たな試料像再生法を考案し,従来に比べて信頼度の高い試料像の再生を試みた。

2015年1月27日
理研,XFELにおいて単一サイクルX線パルスを発生する手法を考案
単一サイクル光パルスとは、発光している間に光の波がわずか1回だけ振動する光。可視光や赤外線領域では,単一サイクル光パルスの発生はすでに成熟した技術で,パルス幅が数フェムト秒という短パルス特性を生かして,光触媒などの化学反応の過程をストロボ撮影のように観察することができる。

2014年12月26日
理研,XFELにより固体の光電子スペクトルの時間分解計測に成功
ポンプ・プローブ型の時間分解硬X線光電子分光法(trHAXPES)を確立し,空間電荷効果の影響が極めて少ない固体試料構成元素の内殻光電子スペクトルを得ることに成功し,それらが大型放射光施設「SPring-8」で得られる光電子スペクトルに比べて同水準であることを確認した。

2014年11月5日
慶大ら,X線回折イメージングにおける従来困難だった回折パターンからの構造解析に成功
XFELを用いた非結晶粒子のコヒーレントX線回折イメージング実験でしばしば遭遇する,従来手法では解析困難な回折パターンについて,解析を可能とする理論を独自に構築し,計算機実験でその有効性を確かめながらソフトウェアとして実用化した。

2014年4月28日
理研とJASRI,円偏光したX線自由電子レーザの生成に成功
XFEL光を人工ダイヤモンド結晶の素子に透過させ,円偏光を作り出すことに成功した。ダイヤモンド結晶の角度を変化させることで,螺旋の回転方向を高速に切り替えることが可能。これにより,現在の100倍もの高速で情報の読み書きが行なえる磁気記録メモリ開発などへの応用が期待できる。

2014年3月17日
理研ら,XFEL施設「SACLA」向け高性能X線イメージング検出器を開発
X線が照射された際に引き起こされる損傷のメカニズムを実験的に検証し,酸化物層を特に薄く製造した場合,XFEL実験で要求されるX線に対する耐久性である1メガグレイという極めて高い耐久性が実現できることを見いだした。

2014年3月10日
慶大と理研,SACLAのコヒーレントX線回折イメージングデータを高速処理するソフトを開発
このソフトウェアの整備により,ラスタースキャン測定終了後直ちに,像回復までの処理を自動で行なえるようになった。高計算コストのルーチンが並列化されているので,SACLAに設置されたスーパーコンピュータ上では回折パターン1000枚/15分で位相回復までの処理が可能となる。

2014年1月14日
東京農工大ほか、世界で初めて、X線自由電子レーザを用いたフェムト秒領域でのX線直接吸収分光測定に成功
X線が測定対象試料を通過する前と後で、X線の強度を広いスペクトル範囲で一括に測定し比較するという直接吸収分光法では、世界で初めての成功となる。

2013年12月6日
理研、2つのX線波長で同時レーザ発振に成功
共同研究グループは、アンジュレータを2つに分けてXFELを発振させることにより、異なる2波長の光パルスの同時生成を可能にした。これは、硬X線領域では世界初の成果。