月刊OPTRONICS 2015年 1月号特集連動企画

XFELが明らかにするバイオの世界

2015年12月2日
理研ら,放射線損傷を避けたタンパク質解析に成功
SACLAのX線レーザーとグリースマトリックス法を使うことで,タンパク質が持つ硫黄原子からの異常分散シグナルを利用する,S-SAD法による構造決定に十分な精度の回折イメージを収集できることを実証した。

2015年9月15日
京大ら,XFELによるタンパク質の構造決定に成功
立体構造未知であるルシフェリン再生酵素というタンパク質の数μm サイズの微結晶をまず作成した。その後,SACLA においてデータ収集を行ない,異常分散効果を利用した重原子同型置換(SIRAS)法により立体構造を明らかにした。

2015年7月14日
慶大ら,低温X線回折で細胞を非侵襲・高分解能イメージング
一個の葉緑体にXFELを1ショット照射して得られた回折パターンで,その形状を反映した干渉縞が観測されたものに,慶大が独自に開発したアルゴリズムを適用することで,投影像を70nmの分解能で再生し,C字型に分布した高電子密度領域を見出した。

2015年3月19日
KEK物構研ら,光合成反応で電子が移動する過程をXFELで可視化
可視光を照射した後に時間を追ってX線発光分光とX線溶液散乱を同時に測定したところ,光照射から約0.5ピコ秒後にコバルト側に電子が移動して,コバルトの状態が三価から二価へと変化し,さらに約2ピコ秒後にコバルト原子周辺の分子構造が変化することが明らかとなった。

2014年11月7日
岡山大ら,光合成を行なうタンパク質複合体の正確な三次元原子構造を解明
可視光を照射した後に時間を追ってX線発光分光とX線溶液散乱を同時に測定したところ,光照射から約0.5ピコ秒後にコバルト側に電子が移動して,コバルトの状態が三価から二価へと変化し,さらに約2ピコ秒後にコバルト原子周辺の分子構造が変化することが明らかとなった。

2014年11月12日
理研ら,連続フェムト秒結晶構造解析向けタンパク質結晶供給手法を開発
タンパク質結晶を高粘度物質のグリースに混ぜることで低速で試料を押し出し,少量の試料でさまざまなタンパク質の回折実験が行なえる手法の開発に成功した。必要な試料が1 mg以下と従来の1/10~1/100程度であり,試料タンパク質が少量でも三次元結晶構造の決定が可能になる。

2014年5月7日
理研、SACLAとSPring-8の光で生体分子複合体のナノ構造を解明
XFEL施設「SACLA」によるXFELイメージングと大型放射光施設「SPring-8」の放射光を用いたコヒーレントX線イメージングを組み合わせることで、遺伝子抑制RNA分子を輸送する機能をもつ「RNAiマイクロスポンジ」の内部構造のナノレベルの解析を行ない、 RNAiマイクロスポンジ中に高密度領域があることを発見した。

2014年1月8日
北大など,X線レーザで生きた細胞をナノレベルで観察することに成功
10フェムト秒以下という極めて短いXFEL の発光時間を利用して,細胞が放射線による損傷を受ける前の一瞬の姿を捉えることに成功した。観察には,独自開発したパルス状コヒーレントX線溶液散乱(PCXSS)法と名づけた手法を用い,細胞内部のナノ構造が高いコントラストで可視化した。