光周波数コムを用いた光フェーズドアレイ

 近年の研究動向である光導波路型と異なり,光周波数コムと空間光学系による光フェーズドアレイは,原子時計と同期した光周波数コムの周波数制御による位相制御を行うことで,高精度に制御された波面の発生が可能となる。また,干渉波面を繰り返し周波数レベルでスイッチングすることができるため,MHz~GHzの高速波面制御が可能となる。さらに提案手法は,レーザー共振器の周波数制御によって光の波面を操作するという全く新しい制御概念を提案するものでもあり,非常に挑戦的な研究と言える。

参考文献
1) J. Sun, E. Timurdogan, A. Yaacobi, E. S. Hosseini and M. R. Watts, “Large-scale nanophotonic phased array,” Nature 493, 195-199 (2013).
2) C. V. Poulton, M. J. Byrd, P. Russo, E. Timurdogan, M. Khandaker, D. Vermeulen, and M. R. Watts, “Long-Range LiDAR and Free-Space Data Communication With High-Performance Optical Phased Arrays,” Ieee Journal of Selected Topics in Quantum Electronics 25 (5), 1-8 (2019).
3) J. C. Hulme, J. K. Doylend, M. J. Heck, J. D. Peters, M. L. Davenport, J. T. Bovington, L. A. Coldren, and J. E. Bowers, “Fully integrated hybrid silicon two dimensional beam scanner,” Opt Express 23 (5), 5861-5874 (2015).
4) M. Chul Shin, A. Mohanty, K. Watson, G. R. Bhatt, C. T. Phare, S. A. Miller, M. Zadka, B. S. Lee, X. Ji, I. Datta, and M. Lipson, “Chip-scale blue light phased array,” Opt Lett 45 (7), 1934-1937 (2020).

■Optical phased array using optical frequency comb
■Takashi Kato

■The University of Electro-Communications, Graduate School of Informatics and Engineering, Department of Engineering Science, Minoshima Laboratory, Assistant Professor/JST, PRESTO Researcher

カトウ タカシ
所属:電気通信大学 大学院情報理工学研究科 基盤理工学専攻美濃島研究室 特任助教/(国研)科学技術振興機構 さきがけ専任研究者(革新光)

(月刊OPTRONICS 2022年10月号)

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