レーザスキャナ計測による作物の生育診断方法

wakate_1511_11

1. はじめに

コメに対して社会は,高品質,低価格,安全安心を求めており,コメ生産現場では,高品質化に向けて栽培管理の基礎情報として,イネの草丈,茎数,葉色(生育量)を定期的に調査している。この調査(慣行測定)では,ひと株ごとに生育量を手作業で測定している。そのため,水田内全体はもちろん,多数の水田を調査対象とすることが極めて難しい。そこで,調査作業労力低減や能率向上等を目的として,リモートセンシング技術を活用した生育量測定手法が研究されている。

これまで,デジタルカメラに代表される受動型の光学センサを用いた葉色の測定手法が提案されている1, 2)。しかし,測定時の照明条件の影響を低減することは容易でなく,均質な条件下で多数の水田を測定することが難しい。一方,測量分野で普及している能動型の光学センサとしてレーザスキャナ(レンジセンサあるいはLiDAR)がある。レーザスキャナは,受動式の光学センサにくらべ,測定時の照明条件の影響を受けにくい特徴をもつ。また,航空レーザ測量に代表される計測形態で,広範囲の水田を短時間で測定可能である。

ここでは,航空機(あるいは小型無人航空機)レーザスキャナ計測による生育量(草丈,茎数,植被率(茎葉の水平専有面積率))の推定に関する取り組みを紹介する。

※本内容は,「写真測量とリモートセンシング」に掲載された「時系列レーザスキャナ計測による水稲の生育診断の可能性検討」,「応用測量論文」に掲載された「水稲群落上方からのレーザスキャナ計測による生育モニタリングの検討」,「小型・低コストな無人無線航空機ベースのレーザスキャナ計測システムの試作とその性能評価」に基づく。

関連記事

  • 超小型衛星搭載に向けたハイパースペクトルカメラの小型化と軌道上観測

    著者:福井大学 青柳賢英 1. はじめに 人工衛星による地球観測は,従来から農林水産業や災害監視などの分野で活用されてきた。例えば農業分野では,農作物の収量予測や土壌状態の把握などに利用されており,また災害監視分野では,…

    2026.05.13
  • 新規赤外受光材料の開発に向けたMg3Sb2薄膜のエピタキシャル成長

    著者:茨城大学 坂根駿也 1. はじめに 近年,人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT),自律航行ドローン,自動運転技術などの急速な発展に伴い,多様な波長帯域における赤外受光センサーの需要が飛躍的に増大している。…

    2026.05.13
  • 地球と人工知能を繋ぐ光ファイバーセンサー

    著者:光産業創成大学院大学 林 寧生 1. はじめに 2026年3月,まだ寒さの続く季節の仕事帰り,電車の中で無意識に開くソーシャルネットワークサービス(SNS)。そのコンテンツは人が作っている。生成AI動画も人が指示を…

    2026.02.26
  • 安定な有機光触媒を利用した光触媒反応の開発

    1. はじめに 近年の地球環境問題への関心の高まりから,有機合成化学分野においても環境に配慮したものづくりが注目されている。特に最近では,クリーンなエネルギー源である可視光を活用したフォトレドックス触媒反応が精力的に研究…

    2026.02.12
  • フォトサーマルナノポアによる単一分子レベルでのラベルフリータンパク質構造ダイナミクス解析技術

    1. 背景 タンパク質の三次元構造は,生命現象の根幹を支える重要な要素である。X線回折を用いて立体構造解析が報告されて以来,核磁気共鳴分光法やクライオ電子顕微鏡,質量分析など,多様な実験技術が開発され,タンパク質の構造と…

    2026.01.13

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア