世界最大の光技術イベントで感じた「変化の兆し」 Photonics West 2026

光業界における世界最大のイベント、Photonics Westが今年も1月17日から6日間、米国サンフランシスコのMOSCONE CENTERで開催された。

例年同様、会場内は熱気にあふれていたものの、垣間見えたのは「変化の兆し」だ。ポジティブな面、懸念材料を合わせて現地からレポートする。
(取材・撮影 望月あゆ子、山口望、林諭子)

Photonics West(フォトニクス ウエスト)
Photonics Westは、SPIE(国際光工学会)が主催する世界最大級の光技術・レーザー関連の国際会議・展示会。毎年1月末から2月初旬にかけて、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコのMOSCONE CENTERで開催され、例年、世界50カ国以上から2万人以上の研究者・技術者・企業関係者が参加する。光学、フォトニクス、量子技術、バイオフォトニクス、半導体レーザーなど幅広い分野の研究発表が行なわれるほか、併設展示会には1,000社以上が出展し、最先端技術や製品を展示する。産業応用や次世代技術の発展に向けたその年の指針となる、光技術分野の発展を牽引する重要なイベントとなっている。

 

様変わりした量子エリア

 「えっ」。絶句とまではいかないが、それでも驚きを隠さずにはいられなかった。

 PhotonicsWest(以下PW)の併設展示会「QuantumWest」(以下QW)。初開催となった昨年は、ブースを見て回る来場者もまばらで閑散としていたが、今年は様子が一変していた。出展社数も増加し、何より来場者と出展社の担当者が熱心に会話を交わす光景があちこちで見受けられた。

 QWの会場の位置を昨年から変更した効果もあるが、それよりもわずか1年で量子技術がビジネスマーケットと認識されつつある証左だろう。

 それは、QWへの出展を昨年は見送っていた大手企業が雪崩を打って参加したことからも分かる。今年はTOPTICAフォトニクス、MKS、ZYGOといったビッグネームが出展。市場自体はまだ研究・開発機器が中心であるにもかかわらず、メーン会場のPWでも大手企業は参入への強い意欲を示していた。

【写真】開幕と同時に来場者が押し寄せたPhotonics West2026=1月20日10時〈現地時間〉、米国サンフランシスコ

強みを押し出す大手各社

【写真】大手各社が名を連ねて出展していた

 昨年は特殊な磁気センサーの展示のみだった浜松ホトニクスは今年、アルカリ蒸気ガラスセル製造の強みを活かし、原子時計や原子ジャイロスコープ等へ展示を拡大。

 さらにカメラやレーザーなどの得意技術を組み合わせ、光源から受光系まで幅広い展示を行なっていた。

 Menloシステムズは、創業事業である光周波数コムと関連付けて超安定化レーザーシステムを出展。THORLABSも豊富なラインアップを活かして通信で良く使用されるCバンド帯の光子ペア発生器、音響光学素子、可変バンドパスフィルターなどを展示し、来場者の注目を集めていた。

 TOPTICAフォトニクスは昨年に続きQWとPWの両方で展示を行ない、量子分野を牽引。今回は特定の原子・イオンの吸収波長を狙いうちする超狭線幅レーザーを外部共振器で安定化したレーザーのモックアップ(試作品)が目をひいていた。

 大手各社は原理実験用の光源や受光系部品を自社の強みで幅広くそろえ、量子コンピューター等の開発を進めるスタートアップ企業を力強く支えている印象だった。

完成品で挑む新興企業

【写真】Quantum Westでは活発に商談が行なわれていた

 量子アプリケーションの社会実装にはまだ時間を要するものの、研究開発向け機器・部品の市場は、各国政府の研究予算拡大に伴い着実に広がりつつある。大手はそれらを好機ととらえ、意欲的な展示ビジネスを展開している。

 QWのスタートアップとPWの大手の双方を見て回ると、大手参入による市場成長と競争の激化、そしていち早く完成品市場でリードしたいベンチャーの新規参入と淘汰が同時に進行。市場草創期特有のダイナミックなフェーズに移行しつつある。

成熟期に向かう加工用レーザー

 量子以外のアプリケーションでは、IPGフォトニクスが赤外から紫外まで幅広い波長帯で、超短パルスからCWまで対応する加工用レーザーを展示。

 今年の目玉は、ビーム品質を維持したまま8kWの高出力化を実現した赤外ファイバーレーザーだ。

【写真】PRISM AWARDSを受賞したIPGフォトニクスの8kWファイバーレーザー

 Laserlineは青色半導体レーザー光源を用いた車載電池の電極溶接や表面処理に最適化したビーム整形技術を前面に出し、高い加工品質をアピール。両社とも高出力化だけでなくビーム品質の向上に注力しており、加工アプリケーションが成熟期に向かっていることを感じさせる。

 理化学・研究開発向けでは、コヒーレントやMKSがライフサイエンス領域も含め、光源や受光・計測機器を幅広く展示していた。

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