慶應義塾大学の研究グループは、超精密機械加工によるトップダウン手法で作製した単結晶微小光共振器を用いて、25GHzを超える高い繰り返し周波数をもつマイクロ光コムの発生に成功した(ニュースリリース)。

研究グループは以前より、フッ化物単結晶を用いた微小光共振器の研究を行なってきた。単結晶微小光共振器は一般的に研磨加工によって作製され、非常に高いQ値が得られる半面、微細構造の制御性や再現性に劣るという課題があった。
この課題の解決方法として、研究グループは2020年に全コンピュータ制御によるミクロンスケールの形状製作が可能な超精密機械加工を用いて、当時世界最高性能の単結晶光共振器の作製に成功した。しかし当時は、マイクロ光コムの発生には至っていなかった。そこで今回の研究では、超精密機械加工のさらなる技術向上とマイクロ光コムの生成を目指した研究を行なった。
マイクロ光コムのスペクトル特性は主にQ値と波長分散によって決まることが知られている。波長分散は共振器の微細構造に大きく影響を受けるため、まず超精密機械加工を用いて、直径約3mm程度のフッ化物単結晶の円周上に高さ5µm程度の超微細導波路を作製した。
超精密機械加工で作製された光共振器は、理論予測通りの理想的な分散特性が得られるとともに、マイクロ光コムの生成を阻害する横モード混成が大幅に抑制されていることが確認できた。
さらに、この微小光共振器を用いることで、約26GHzという非常に高い繰り返し周波数をもつマイクロ光コムの生成に成功した。従来手法によるマイクロ光コムと比較したところ、光スペクトルの再現性や平坦性、波長帯域が大幅に向上した。
さらに、数値シミュレーションにより、微細導波路をもつ光共振器ではマイクロ光コム動作に必要な光エネルギーが半分以下と大きく削減できることが分かった。
また、ここで得られたマイクロ光コムを用いて周波数約26GHzの電波を生成し、その位相雑音を評価したところ、-140dBc/Hzを下回る非常に低いノイズ特性を示すことを明らかにした。
研究グループは、この成果は、マイクロ光コムの社会実装に加え、高速大容量光通信や低雑音マイクロ波源などへの活用と近い将来の市場展開に大きく貢献することが期待されるとしている。



