国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、東京科学大学、千葉工業大学、情報通信研究機構(NICT)、ザインエレクトロニクス、広島大学、名古屋工業大学、東京理科大学、徳山工業高等専門学校、東北大学、シャープの産学による研究グループは、150GHz帯、および300GHz帯を用いた超大容量無線LANの研究開発を共同で行ない、テラヘルツ波による超大容量無線LANの実現に向けて必要とされる要素技術、統合技術を開発した(ニュースリリース)。
5Gの普及や、AIや映像技術の進歩に伴い、通信回線のトラヒック量は劇的に増加している。さらにAR・VRなどのコミュニケーションツールやモビリティの高度化に向けて、大容量かつ同時多接続伝送技術が求められている。また、大量のデータを扱うデータセンター内も大量の配線があり、サーバーの移設などには困難が生じる。そのような利用シーンで超大容量の無線LANを使うことができれば、配線による束縛が解消され、レイアウトの自由度が大きく改善することが期待されている。

今回、研究グループは、300 GHz帯と150 GHz帯におけるMIMOパス環境特性の明確化、アンテナの指向性および反射板の形状や配置への指針を策定した。高密度AiP設計および実装による体積1 cm3以下で偏波MIMO対応の16素子フェーズドアレーモジュールを開発、150 GHz帯において通信距離3 m、伝送速度100 Gbpsを達成した。

また、300 GHz帯を用いて、ビーム方向を制御できる高利得アンテナと、それに対応したシリコンCMOS集積回路を用いたトランシーバも開発。2次元フェーズドアレー構造を用い、平面で小型のモジュールとしているのを特長としており、空間内の複数の端末間で同時に無線伝送を行うことができる複数ストリーム通信に対応可能。今後は、1ストリームあたり40 Gbps以上の伝送速度、±30 度以上の2次元ビーム制御の実現を目指すという。

現在、サブテラヘルツ帯を活用する無線LANの実現に向けて、低オーバヘッドで接続可能なアクセスポイントを探索する技術、サブテラヘルツ帯を対象にした無線リソースの割り当て技術およびIntelligent Reconfigurable Surface(IRS)を用いた伝搬路制御技術、ならびに複数のサブテラヘルツ帯アクセスポイントが連携して超高速伝送を行なうために必要となるアクセスプロトコルとバックホール通信システムを対象とした研究開発を行なっている。
これら開発を進めている産学による共同研究グループには、機関ごとに研究・開発の役割が示されているが、研究成果の社会実装に向けては国際標準化が重要となる。研究グループではIEEE802.11 Working Groupをはじめとした各種標準化委員会における標準化活動を進めているという。また、将来的な275GHz以上の周波数の通信業務利用に向けて、国際電気通信連合(ITU)の関連部会における各種活動を実施しているとし、今後の展開が注目されている。



