横国大,青色に光るセルロースナノファイバーを開発

横浜国立大学の研究グループは,青色に光る性質を持つアミノ酸(Acd)を,植物由来のナノ繊維セルロースナノファイバー(CNF)に化学的に結合させることで,水中でも安定して使える蛍光性ナノ素材(Acd-CNF)の開発に成功した(ニュースリリース)。

植物の細胞壁から得られるCNFは多様な特性を有しており,幅広い分野での応用が検討されている。特に,TEMPO触媒酸化法によって得られるTEMPO酸化型CNF(TOCNF)は,繊維幅が2-3nmと非常に細く,水への良好な分散性やチクソトロピー性,優れた乳化安定性を示す。

近年では,CNFに蛍光発色団を共有結合させることで,分子間相互作用や物質の挙動を可視化する手法が注目されている。蛍光発色団は一般的に疎水性で,TOCNFの性質が損なわれる懸念がある。そのため,CNFの特性を維持しながら蛍光機能を付与するには,比較的小さな分子量で,かつ親水性官能基を有する蛍光発色団の設計・導入が重要となる。

今回,研究グループは,蛍光アミノ酸「アクリドン-2-イル-アラニン(Acd)」に注目。Acdは剛直で安定かつコンパクトな構造で,さらに水中で非常に強い青色蛍光を示す蛍光発色団がアミノ酸側鎖に導入されている。

研究グループは,Acdを導入することで優れた蛍光性CNF(Acd-CNF)が得られると期待し,構造・物性評価を行なったところ,反応後のAcd-CNF水分散液は安定して明るい青色蛍光を示した。TOCNFとAcdが共有結合しており,Acd 導入後もナノファイバー構造が損なわれず保持されていることを確認した。

粘度測定では,Acd導入後もTOCNF 特有のチクソトロピー性を保持していることが示された。加えて,Acdと周囲の水やファイバーとの水素結合が形成され,ネットワーク構造がより密となり,粘度が増加するとともに,柔軟に変化する緩やかなゲル特性が得られた。

さらに,Acd-CNFを含む水中油滴型ピッカリングエマルション中のナノファイバーの分布を可視化したところ,青色蛍光によりAcd-CNFが油滴表面に選択的に集まっていた。また,Acdからナイルレッド(油滴側染色剤)へのフェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)が観察され,Acd-CNFが界面に吸着していることが光学的に裏付けられた。これらの結果は,CNF染色剤を用いずに界面挙動を直接観察できる新たな蛍光性CNF材料として,Acd-CNFの有用性を示すものだという。

研究グループは,分散挙動や微細構造の観察技術の発展や蛍光性CNF材料の開発などさまざまな応用が期待される成果だとしている。

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