古河電工,低雑音の前方励起ラマンユニットを開発

著者: sugi

古河電気工業は,伝送システムの雑音特性を従来と比較して改善し,信号伝送の高品質化と長距離化を実現する前方励起ラマンユニットを開発した(ニュースリリース)。2023年7月からサンプル出荷し,順次製造を開始する。

ラマン増幅は光ファイバ通信を支えるコア技術で,現在は受信側から信号光を励起する後方励起ラマン増幅が標準的に用いられている。後方励起ラマン増幅では,信号光と励起光が反対方向に進むため,励起光による雑音の影響は平均化されて軽減するが,光ファイバを伝搬する信号の伝送特性に改善の余地があった。

一方,信号光と励起光が同じ方向に伝搬する前方励起ラマン増幅は,送信開始地点から信号光の出力を増幅することにより信号光の劣化が少なく,ラマン増幅の効果を最大限に生かせることから実現が期待されていたが,励起光のゆらぎの影響を受けることが課題だった。

今回開発した前方励起ラマンユニットは,雑音を抑えたインコヒーレント光を励起光に用いている。インコヒーレント光は広帯域であるため,励起光源と信号光の相互作用を平均化できる特長がある。そのため,前方励起ラマン増幅において,雑音の影響を抑えて高品質な信号伝送を実現できるとする。

また,従来の後方励起ラマン増幅に比べ,前方励起ラマン増幅を追加した場合は信号光パワーの劣化分が少ないため,信号品質を維持したまま伝送することができる。その結果,伝送距離の拡大,また,同じ距離ならば一段と高品質な信号伝送が実現し,近年の伝送速度の高速化に伴う伝送距離の短尺化の課題解決に貢献することができるという。

同社ではこれらの開発に加え,現在は独自技術である二次励起方式を用いてインコヒーレント光を増幅させ,ラマンユニットの高出力化を図っているが,今後は光半導体インコヒーレント光源の出力向上により,更なる特性改善を進めていくとしている。

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