東芝ら,米国で初めて量子暗号通信の実用性を確認

東芝と東芝デジタルソリューションズは,東芝アメリカ,米JPモルガン・チェース,米シエナの3社が,米国で初めて金融アプリケーションの実行基盤で実証実験を行ない,量子暗号通信(QKD)ネットワークの実用性を実証したと発表した(ニュースリリース)。

この実証実験で3社は,金融分野におけるブロックチェーンアプリケーションで送受される情報を保護するためにQKDネットワークを使用し,大都市において,最大100㎞の距離で,実用レベルの800Gb/sの伝送速度で暗号通信が可能であることを確認した。

高速大容量かつ低遅延なデータ伝送が厳格に求められる金融分野において,盗聴者を即座に検出・防御し,来る量子コンピューター時代において,より安全で効率的なネットワークの構築が可能となるという。

この実証実験は,東芝デジタルソリューションズの量子チャネルとデータ通信チャネルを同一光ファイバーで共有運用できる多重QKDシステム,シエナの800Gb/s光レイヤ暗号装置と6500フォトニックソリューション上で実行されるオープンAPIを備えたWaveserver5プラットフォームを用い,JPモルガン・チェースの研究施設において実施された。

実証試験では,70kmの光ファイバー上でQKDにより保護された実効データレート800Gb/sの光データ通信に成功した。また,光ファイバーを最大100kmの距離まで延ばした実験を行ない,正常に実行できることも確認した。さらに,QKDネットワークインフラで測定したQKD鍵生成レートでは,高度暗号化標準(AES)の256ビット暗号鍵を毎秒1回変更する場合で258チャネル分を保護できることを確認した。

なお,この実証実験の成果はarXiv(https://arxiv.org/abs/2202.07764)で公開されている。

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