阪大ら,水素イオンによる巨大な抵抗変化を制御

大阪大学,米パデュー大学,インド理科学院は共同で,新規デバイスの候補材料として注目されている強相関酸化物であるNdNiO3薄膜をチャネルとする二端子電界駆動型プロトンレジスターを作製し,プロトンの電界拡散に伴う大きな抵抗変調発生機構を解明した(ニュースリリース)。

相転移を利用した巨大スイッチング,超高速動作が可能なデバイス創製が盛んに行なわれている。また,従来型の電子制御にはとどまらず,強相関金属酸化物とイオンの化学反応を利用して巨大変調を利用しようという強相関イオニクスの試みが新たに始まっている。

イオンドーピングは静電的ゲーティングに比較し,多大なキャリア導入による巨大変調動作の可能性が示唆されているが,イオンと強相関金属酸化物が起こす化学反応の制御,デバイス動作原理の理解が進んでおらず,デバイス制御をする際の障壁となっている。

強相関ニッケル酸化物(ReNiO3)は,金属-絶縁体相転移によりその電気伝導度が大きく変わることが知られており,基礎,応用の両面から注目されている。この材料はプロトンドープにより電気抵抗が劇的に上昇するという,通常の材料には見られない特性を示す。

イオンは物質中で柔軟な動きをするため,イオンを自在に操れるデバイスが実現すれば,これまでの電子デバイスの限界を超える機能が期待できる。しかし自在であるがゆえにイオンの反応の制御は難しく,イオンの固体中へのドープ量や,固体中での挙動を決めるメカニズムは明らかになっていなかった。

研究グループは,プロトンの導入と反応の進行を制御するために,非対称電極二端子デバイスを創り出すことで,プロトンとニッケル酸化物との反応場所を誘導した上で,電界を使ってプロトンの挙動を制御し,その抵抗変調機能の関係を解明することに成功した。

究極的に軽く小さくプロトンは化学反応性に富み,非常に大きな可動性を持っている。研究グループは,通常の電子制御では不可能な巨大抵抗変調(〜108)を示す新規エレクトロニクスや,漆黒から無色透明にまで至る劇的な電子構造組み換えによる高性能調光デバイス・電磁メタマテリアルなどの新規オプトロニクス展開など,従来不可能であった広大な波及効果が期待されるとしている。

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