東大ら,有機トランジスタの高速応答をモデル化

東京大学,産業技術総合研究所,物質・材料研究機構らは,有機トランジスタの高速応答特性をモデル化することに成功した(ニュースリリース)。

研究グループではこれまでに,厚さ数分子層(10nm程度)からなる有機半導体単結晶超薄膜を大面積で塗布可能な印刷手法を開発しているが,このような高品質の有機単結晶薄膜では,10cm2/Vsを超える高い移動度が実現されており,有機トランジスタの高速化に極めて有望となる。

集積回路中のトランジスタは,決められた動作周波数に追従して常にON/OFF状態がスイッチングしながら論理演算をしている。したがって,各トランジスタの動的な特性をあらかじめ予想することは,大規模な集積回路を設計する上で需要な課題となる。

シリコンを基盤材料とした集積回路においては,移動度などの物性値とデバイスの構造を一意に定めることで,トランジスタの動的な周波数特性を曖昧さなく予想できる。しかしながら,大規模な集積回路の設計ガイドラインとなるトランジスタの動的応答モデルは,有機半導体トランジスタにおいては未解明だった。

これは,遮断周波数や移動度などのデバイスパラメータとデバイスの微細度の相関が明らかになっていなかったためで,このような課題を解決するため,研究グループは数マイクロメートルレベルで微細加工した有機半導体トランジスタアレイを製造し,デバイス構造と動的特性を系統的に評価した。

有機半導体トランジスタの微細化度を変化させながら,遮断周波数や移動度などのデバイスパラメータを系統的に調査するためには,大面積にわたり非常に均質で良質な薄膜を製造する必要がある。研究グループが開発した大面積有機半導体単結晶超薄膜と成熟した微細加工技術によって,初めて超系統的解析が可能となり,有機トランジスタの高速応答特性のモデル化に成功した。

シリコン半導体で確立されていた既存のモデルに,有機トランジスタに特有の接触抵抗の効果を取り入れる新しいモデルを定式化したこのモデルでは,接触抵抗の影響を考慮した上でのデバイスの微細度を表す”面積因子”を用いて,直感的に動的特性を予想できる。

このモデルに従い,適切なデバイス構造を有する有機トランジスタを作製したところ,世界最速となる45MHzの遮断周波数を達成した。

このモデルは有機トランジスタのさらなる高速化・微細化における明確なガイドラインとなると同時に,動的な環境下で動作するさまざまな電子素子(増幅素子や整流素子)などの設計に有用となること期待されるとしている。

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