NIMSら,ハニカム構造でレーザー発振に成功

物質・材料研究機構(NIMS),科学技術振興機構,中国北京大学の研究グループは,ハニカム型フォトニック結晶のトポロジカル特性による新規光閉じ込め現象を発見し,優れた指向性を示す微小レーザーの作製に成功した(ニュースリリース)。

物質の性質が系の形状の変化に影響されない”トポロジカル特性”に関する研究が盛んに繰り広げられ,量子コンピュータの実現等,優れた新規機能開発につながることが期待されている。

一般的に物質の持つトポロジカル特性は,系の表面や縁に局所的に現れる(バルク-エッジ対応)。それらを利用すれば,抵抗を伴わない電流や欠陥にも散乱されない光・電磁波伝播が実現できる。しかし,トポロジカル特性が,表面や縁だけでなく,系全体の性能の向上に役立つか否かは解明されていなかった。

研究グループは,トポロジカル特性を示す発光性半導体フォトニック結晶の周辺を,トポロジカル特性を持たないフォトニック結晶で囲むことで,その境界で光が反射され,中心部に閉じ込められた光モードが増幅する現象を発見した。

このアプローチのユニークな点として,フォトニック結晶がトポロジカル特性を持つか持たないかは,三角空孔のハニカム配列をベースに,三角空孔の位置を,ハニカム配列の単位胞の中心からわずかに遠ざけるか近づけるかで作り分けることが可能となる。

このデバイスを用いた室温下での光照射レーザー発振は,微小なデバイスサイズにもかかわらず,共振器面に垂直な方向への優れた指向性を示す。さらに発光閾値などレーザー特性の指標も,IEEEやその他の工業規格を満たすことが確認された。

この研究で示したトポロジカル特性由来のレーザー発振現象は,極小で指向性の優れた固体レーザー光源開発の新たな指針となり,近接場光学顕微鏡や,光渦を利用した光ピンセット等,ミクロな世界のレーザー技術をはじめ,医療・生命科学技術の革新に大きく寄与すると期待されるとしている。

キーワード:

関連記事

  • 弘前大など、UAV LiDARで地すべりの地下構造を推定

    弘前大学は、ドローン搭載レーザー計測(UAV LiDAR)で取得した地表面データから、地すべりの地下にある「すべり面」の形状を推定する新たな技術を開発したと発表した(ニュースリリース)。 図 ドローン×3D解析による、す…

    2026.06.23
  • 【解説】IOWN AI ファンドが示す、AI時代のフォトニクス産業の広がり

    AIインフラの重心が、AIモデルを作るための大規模な設備から、完成したAIを現場に近い場所で動かす仕組みへ移りつつある。NTTなどが2026年6月10日付で発表した投資ファンド「IOWN AI Fund」(関連記事)が注…

    2026.06.23
  • 筑波大など、キラル高分子球体で「土星の輪」状レーザー発振を実証

    筑波大学、東京大学、東京科学大学、および科学技術振興機構(JST)の研究グループは、渦状の分子配向を持つキラル(鏡像を重ね合わせることができない構造)なπ共役高分子マイクロ球体において、土星の輪のような円環状のレーザー発…

    2026.06.19
  • 京大、有機LEDでレーザー級の超狭帯域発光分子を開発

    京都大学の研究グループは、多重共鳴(MR)と呼ばれる分子設計を発展させ、半値幅5nmに迫る極めて狭い発光を示す有機発光材料の開発に成功したと発表した(ニュースリリース)。次世代有機LED(OLED)ディスプレイの高色純度…

    2026.06.17
  • NTTとグローバルパートナーが「IOWN AI Fund」を設立、次世代AI産業の基盤形成へ

    NTT、Young Sohn氏、SK Group、中華電信、および日本政策投資銀行は、AI時代の先端技術への投資を通じてIOWNエコシステムの構築と新たな事業創出を目指す投資ファンド「IOWN AI Fund」を組成した…

    2026.06.15

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア