東工大腰原伸也教授,2019年度島津賞を受賞

島津科学技術振興財団は,第39回(2019年度)島津賞受賞者として,東京工業大学理学院化学系教授の腰原伸也氏が選ばれたと発表した(ニュースリリース)。

島津賞は,科学技術,主として科学計測に係る領域で,基礎的研究および応用・実用化研究において著しい成果をあげた功労者を表彰するもの。受賞者には,表彰状・賞牌・副賞500万円が贈呈される。

対象となった研究業績は,「超短パルスレーザー光と放射光を用いた動的構造解析法の開拓と光誘起相転移の研究」。放射光とフェムト秒パルスレーザーを組み合わせた専用測定装置を,動作原理を含めその初期段階から開発・活用して,光で物質の性質を超高速かつ劇的に変化させる「光誘起相転移現象」という従来の概念を突破する研究分野を世界に先駆けて開拓した。

これにより超高速での情報処理や,高効率なエネルギー利用,さらには情報処理の(量子)過程制御が可能な材料開発への道を切り拓いたことが高く評価された。

新しい物質を具体的に開拓するためには,光学的,電子的,磁気的性質の超短時間での変化の観測,さらには原子スケール(オングストロームスケール)の物質の変形観測技術(分子動画技術)開発も必要不可欠となる。

中でも光誘起相転移現象物質開発の鍵は,光励起後超短時間で発生する結晶構造の動的変化の観測となる。このために,腰原氏は放射光とフェムト秒パルスレーザーを組み合わせた専用測定装置を,動作原理を含めその初期段階から開発・活用し,この分野の研究を先導してきた。

そして,開発した観測装置を駆使して,光励起状態においてのみ出現する新構造秩序(隠れた秩序状態:Hidden State)を世界に先駆けて発見し,光加熱効果に邪魔されない光スイッチ材料の開発という新機軸を切り拓き世界的にも高い評価を得ている。

加えて,開発した動的構造解析装置を,固体光応答材料の結晶のみならず,生命機能分子や溶液中の光-化学エネルギー変換(光触媒)材料にも適用してその動作メカニズムを世界に先駆けて明らかにするなど,動的構造観測装置・解析技術の一般的有用性も示してきた。

さらに最近になって,フェムト秒レーザーを用いて発生させたサブピコ秒電子線パルスを用いた動的構造解析装置を固体材料向けに発展させ,Hidden Stateを活用したフェムト秒超高速光相スイッチ物質の開拓にも成功した。このような腰原氏の光誘起相転移現象研究は基礎,応用両面で高い評価を得ている。

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