慶大ら,光ディスクで微小膜小胞の検出に成功

慶應義塾大学,東京医科大学,JVCケンウッドは共同で,光ディスク技術とナノビーズ技術を組み合わせた新しい原理によるエクソソーム計測システム「ExoCounter」(エクソカウンター)を開発した(ニュースリリース)。

エクソソームは,主として血液中に存在し,さまざまな細胞から分泌される直径50〜150nmの微小な膜小胞。生理学的プロセスの調節において重要な役割を担っている一方,がんの転移にも深く関与しており,血液中のエクソソームの種類や量が,がんの状態やその後の経過に関係することが示唆されているため,バイオマーカーとして有用である可能性にも期待が高まっている。

しかし,エクソソームが非常に小さいこと,血中にはエクソソームと同等の大きさのさまざまな粒子が多数存在することから,既存技術でエクソソームを検出するためには煩雑な精製等の前処理を行なう必要があり,高精度のエクソソームの検出が課題となっていた。特に,血中のがん特異的なエクソソームの数を正確かつ簡単に計測することは困難だった。

開発したのは,特殊な光ディスク上でエクソソームの表面に存在する疾患特有のたんぱく質(表面抗原)と磁性ナノビーズを結合させ,その複合体を光ディスクドライブで検出し,疾患特異的なエクソソームの数を高精度かつ簡便に計測する新たな計測システム。

光ディスクの表面にはエクソソームの大きさに適合したナノ構造が設けてあり,このナノ構造の表面にエクソソームと結合できる抗体をコーティングすることで,血清などの生体試料中のエクソソームを選択的に捕捉する。加えて,がんに特異的な抗体を固定したFGビーズをエクソソームに結合させることで,がん特異的なエクソソームが検出可能になる。

研究では,光ディスク表面上に,がん細胞が分泌するHER2表面抗原を持つエクソソームと磁気ナノビーズを結合させ,その複合体を「ExoCounter」で検出し,がん疾患由来のエクソソームの数の計測を実施した。

その結果,乳がん患者と卵巣がん患者の血清中に,がんマーカーとして知られるHER2を発現しているがん特異的なエクソソームの数が統計的に有意に多いことを初めて明らかにした。これらの成果は,エクソソームを指標とした新たながん診断や治療法の開発,がん研究の発展につながることが期待されるとしている。

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