産総研ら,可視光域をカバーする標準LEDを開発

産業技術総合研究所(産総研)と日亜化学工業は共同で,可視光全域をカバーする標準LEDを,世界で初めて開発した(ニュースリリース)。

照明は,家庭における消費電力の約6分の1を占めており,省エネルギーの観点から,白熱電球や蛍光灯などの従来照明から,LED照明などの消費電力の少ない固体素子照明への置き換えが進んでいる。そのため,照明メーカー間で,国際的に熾烈な固体素子照明の研究開発競争が繰り広げられており,ユーザーに,各製品の性能を正しく知らせることが重要となっている。

エネルギー効率や色は,照明製品の性能を示す指標で,これらは,分光測定により得られるスペクトルから評価される。しかし,固体素子照明は,前面にのみ光が放射されることや,多種多様なスペクトルで発光することなど,従来照明とは異なる特性を示すため,固体素子照明の分光測定に適した標準光源が存在せず,正確な測定が容易ではなかった。

固体素子照明の分光測定に適した標準光源には,前面にのみ光を放射する特性に加えて,可視光の波長領域(380nm~780nm)全体で十分な光強度をもつ,という特性が求められる。前者の特性を満たすにはLED光源がふさわしいが,これまで開発されたLEDでは,もっとも優れた特性のものでも短波長側と長波長側の光強度が不十分であり,標準光源には適していなかった。

従来の白色LEDでは,420nm~720nmの波長領域以外では光強度が十分でなく,可視光全域で分光測定をするための標準には適していなかった。そこで,今回開発した標準LEDでは,中心波長が異なる複数のLED素子により,380nm~430nmの波長領域での光強度を改善するとともに,430nmより長い波長領域では,青,緑,赤の蛍光を発する複数の蛍光体を組み合わせて光強度を改善した。

これにより,標準LEDのスペクトルは380nm~780nmの波長領域に広がり,可視光のほぼすべての波長領域で十分な光強度を実現した。
 
また,今回開発した標準LEDは,本体の直径が62mm,発光部の直径が12mmであり,発光部の温度を常に一定に保つための温度制御機構を実装している。この機構により,標準LEDの周囲温度に対する光強度の変動を0.01%/℃以下に抑えることに成功した。

これは,従来の白色LEDに比べ,約20倍の安定性となる(従来の白色LEDの変動は約0.15~0.2 %/℃程度)。さらに,従来の白色LEDは点灯後の光強度が大きく変動するが,今回開発した標準LEDは,点灯後の光強度がほとんど変動しない。

今後,日亜化学工業は,今回開発した標準LEDの量産化に向けた準備を進める予定。また,産総研では,今回の標準LED開発で用いたスペクトル精密測定技術をさらに発展させ,面発光光源や紫外光・赤外光領域における光源の評価技術の研究開発を行なっていく予定だとしている。

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