産総研、ダイヤモンド電子放出デバイスの高性能化の鍵を理論的に解明

産業技術総合研究所ナノシステム研究部門ナノ炭素材料シミュレーショングループ研究グループ長の宮本良之氏、非平衡材料シミュレーショングループ研究グループ長の宮崎剛英氏、エネルギー技術研究部門総括研究主幹の山崎 聡氏、電力エネルギー基盤グループ上級主任研究員の竹内大輔氏らは、第一原理計算による電子ダイナミクスのシミュレーションにより、化学修飾されたダイヤモンド表面における電子の電界放出特性の違いを調べた。

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従来から電界放出の高効率化に効果があると考えられていた負の電子親和性(Negative Electron Affinity:NEA)だけが必ずしも有効ではなく、表面化学修飾により電子のポテンシャルが表面からの深さに対して単調に変化せず増減を繰り返す複雑な構造を持っていることが、電界放出特性に大きな影響を及ぼすことを突き止めた。

ダイヤモンド材料を用いた電界放出デバイスの性能は他の材料と比べて圧倒的な性能をもつものの、その表面処理による安定性の確保と電子放出効率化の両立のために、電子放出メカニズムの解明が課題であった。

この理論的な研究成果によって、ダイヤモンド表面を化学修飾する際の電界放出特性と化学安定性の向上を目指す実験的な研究や電子放出デバイスの応用研究を加速することが期待される。

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